最新記事

朝鮮半島

北朝鮮の人権侵害はもう限界 今こそ対北政策の転換を

2017年6月29日(木)10時10分
J・バークシャー・ミラー(本誌コラムニスト、米外交問題評議会国際問題フェロー)

軍事的脅威だけでなく

しかし何よりも重要なのは、今回の悲劇を、中国を含む地域全体への警鐘とすることだ。そして、北朝鮮の軍事的脅威だけでなく、人権問題とも真剣に向き合う必要があることを知らしめる必要がある。

つまり、アメリカ、日本、韓国が経済制裁で北朝鮮に圧力をかけ続け、核兵器とミサイルの開発を抑止する一方で、北朝鮮による国内外での目に余る人権侵害にも、断固とした態度で臨まなければならない。今年2月に北朝鮮の金正男(キム・ジョンナム)がマレーシアの空港で、大量破壊兵器に分類されるVX神経ガスを使って暗殺されたことも、あからさまな人権軽視の一例と言える。

そして、アメリカは中国に対し、北朝鮮の手綱を締めろとこれまで以上に強く要求する必要がある。

【参考記事】世界最恐と化す北朝鮮のハッカー

中国による北朝鮮への圧力や働き掛けは結果につながっておらず、北の挑発行為は相変わらずだ。もっとも、中国が石油の輸出禁止など具体的な行動を渋り続けていることを考えれば、驚くまでもないのだが。

しかし既に、中国の中途半端な態度を許していい段階ではなくなった。朝鮮半島の非核化という「共通の目標」を唱えているだけでは済まない。ワームビアの死がアメリカに突き付けた衝撃は、米政権がもっと強引になっても構わないという立派な理由になる。

[2017年7月 4日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米GDP、第1四半期は+1.6%に鈍化 2年ぶり低

ビジネス

ロイターネクスト:米第1四半期GDPは上方修正の可

ワールド

プーチン氏、5月に訪中 習氏と会談か 5期目大統領

ワールド

仏大統領、欧州防衛の強化求める 「滅亡のリスク」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    自民が下野する政権交代は再現されるか

  • 10

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中