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サイバーテロ

世界的サイバー攻撃再び 欧米企業などの被害、先月の攻撃と類似も

2017年6月28日(水)11時28分

 6月27日、ロシアやウクライナなど世界各地で、大規模なサイバー攻撃があり、企業や銀行などで被害が出た。写真はウクライナの空港で不具合を調べるエンジニアら。(2017年 ロイター/Valentyn Ogirenko)

ロシアやウクライナなど世界各地で27日、大規模なサイバー攻撃があり、企業や銀行などで被害が出た。先月発生したハッキングに類似した身代金要求ウイルス(ランサムウェア)が使用されたという。

被害は当初、ロシアとウクライナで報告。セキュリティーソフト会社のカスペルスキー・ラボによると、最も被害が大きかったのがこの2国で、ほかにも英国、フランス、ドイツ、イタリア、ポーランド、米国などでも被害が確認された。

デンマークの海運・石油大手、モラー・マースクは、ロサンゼルスのターミナルなど世界中のコンピューターシステムがストップしたと明らかにした。

ウクライナのメディア企業ではコンピューターがブロックされ、アクセス復旧の見返りに300ドル相当のビットコイン支払いを要求されたという。

また、ロシア国営石油大手のロスネフチや、フランスの建材メーカー、サンゴバン、広告世界最大手の英WPPなども被害に遭ったことを明らかにしたが、同一のウイルスが原因かは分かっていない。

今回のウイルスには「エターナル・ブルー」と呼ばれるコードが含まれ、専門家によると、米国家安全保障局(NSA)から盗まれたものとされたという。先月発生した「ワナクライ」というランサムウェアによる攻撃でも使用されていた。

マイクロソフトの広報担当は、ウイルス拡散の可能性があるとの見方を示し、「調査を継続しており、顧客を保護するため適切な対策を取る」と述べた。

ロスネフチは、コンピューターシステムが深刻な被害を受けたが、予備システムに切り替えたため、原油生産に影響は出ていないと述べた。

ウクライナのロゼンコ副首相は、政府のコンピューターネットワークがダウンし、銀行や電力会社を含む民間企業の業務に混乱が生じていると中央銀行から報告があったと明かした。

ただセキュリティー専門家は今回の被害について、先月の攻撃を受けて多くのコンピューターがウィンドウズを更新したことから、前回より小規模になるのではないかと話している。

[モスクワ/キエフ/ワシントン 27日 ロイター]


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