最新記事

中東

アメリカと組むサウジ、血塗られたテロ犠牲の歴史

2017年6月26日(月)18時30分
トム・ポーター

一連の爆弾テロは、米軍の駐留に反対するアルカイダのメンバーの仕業とされた。同年4月、米政府はサウジ駐留米軍の規模を大幅に縮小するとすでに発表していた。

翌年テロ攻撃はエスカレートし、死者が相次いだ。リヤドにあるサウジの治安当局の本部ビルや、西部ヤンブーの石油化学工場、東部コバールの石油関連企業が入る外国人居住区、西部ジッダにある米総領事館などが、アルカイダの攻撃対象になった。

2004年にリヤドで起きた銃撃事件では、アメリカ人2人と英BBCのカメラマンが殺害された。アルカイダはアメリカ人工学者のポール・マーシャル・ジョンソン・ジュニアを誘拐し、斬首した遺体の写真を公開した。

サウジの治安当局が地元出身のアルカイダ幹部アブドル・アジズ・マクリンを殺害してから、テロ攻撃は一時的に下火になった。サウジ政府はアルカイダのメンバーに対して、1カ月以内に投降すれば恩赦を実施すると発表した。

2007年は、テロを計画した数百人の容疑者が逮捕された。その中には、飛行機を使ったテロ攻撃を実行するパイロットとして訓練を受けた者もいた。2009年にアルカイダによるテロ犯罪に関する裁判がサウジアラビアで初めて行われ、330人が被告人になった。そのうち死刑判決を受けたのはたった1人で、サウジ当局は最終的に何人が有罪になったのかを明らかにしなかった。

ISISの参加者は2500人

同年に内部告発サイト「ウィキリークス」によって米政府の外交公電が流出し、アメリカがサウジアラビアのことを、世界中のイスラム教スンニ派過激派組織の最も重要な資金供給源とみなしていたことが明らかになった。

その後、ISISの台頭でサウジアラビアにテロの脅威が再来する。約2500人のサウジ国民がISISに参加しており、外国人戦闘員の出身国で2番目に多い。

サウジ政府は2014年にISISをテロ組織に指定し、国際的なISIS掃討作戦に加わった。

ISISはサウジアラビアで相次いでテロ攻撃を実行した。2015年5月にサウジ東部の州にあるイスラム教シーア派のモスクで自爆テロがあり、25人が死亡した。2016年にも西部メディナなど3都市で連続自爆テロが発生した。

先月トランプは外遊先のサウジアラビアで、有力な中東諸国がイスラム過激派との戦いを強めるよう呼び掛けた。既に多大な犠牲は支払っている。火に油を注ぐことにならないか。

(翻訳:河原里香)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

円続伸し152円台後半、ドルは弱い指標が重し

ワールド

ウクライナ大統領、選挙計画を2月24日に発表へ=英

ワールド

香港活動家の父親に有罪判決、娘の保険契約巡り基本法

ビジネス

中国1月CPI、+0.2%に鈍化 PPI下落率縮小
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 4
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 5
    崖が住居の目の前まで迫り、住宅が傾く...シチリア島…
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本の…
  • 8
    衆院選で吹き荒れた「サナエ旋風」を海外有識者たち…
  • 9
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 10
    まさに「灯台下暗し」...九州大学の研究チームが「大…
  • 1
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 5
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中