最新記事

中国経済

中国一帯一路、パキスタン建設事業を欧米からもぎ取った「力技」

2017年6月18日(日)10時57分


優先融資

しかし、中国の政策銀行である国家開発銀行(CDB)と中国輸出入銀行(EXIM)の行員2人は、ロイターに対し、シルクロードプロジェクトのための中国企業向け融資を優先するよう政府から指示を受けたことを明らかにした。

両行とも、地域一帯でのインフラ整備に参加する企業が、原材料や機材を中国から購入することを好むという。

パキスタン国内には、中国企業と契約を結ぶことについて、プロジェクトの早期完成が見込める一方で、パキスタン政府のコスト負担がより重くなっているとの批判も出ている。

パキスタン政府高官と電力関係者2人によると、例えば、高圧送電線プロジェクトにおいて、GEは送電線網の重要パーツである変電所について、国家電網の請求額より約25%安い金額で建設できるとの見積もりを出した。国家電網と契約したことで、パキスタン政府は高い価格を払うことになったという。

パキスタンの電力規制庁高官は、国家電網は、他の投資家には提示されていない税制優遇を受けていると指摘する。パキスタン政府は、契約にからむ税制の問題についてコメントしなかった。

国家電網の子会社で、送電線の建設を担う中国電力技術装備は、請求金額は適正だと主張する。

「とても無理のないコストだ」と、パキスタンの国営送電公社(NTDC)のFiaz Ahmad Chaudhry氏は国家電網との契約全般について語った。

中国外務省の華春瑩報道官は、パキスタンにおける一帯一路計画のプロセスは、「オープンで透明」であり、両国間の関係と地域の繁栄を強化するものだと述べた。

パキスタンでの中国企業優位は、当面続きそうだ。シルクロード計画で、中国とパキスタンは、発電所や港湾施設、鉄道網や道路網など総額570億ドル規模のインフラ整備を計画している。

中国の習近平国家主席は先月北京で行われた会議で、こうした計画は加速されると話した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EXCLUSIVE-米ホワイトハウス、TikTok

ワールド

ロシア・ウクライナ大統領、会談の準備中=トランプ氏

ビジネス

カナダ7月消費者物価、1.7%上昇 利下げの見方強

ワールド

韓国は「二重人格」と北朝鮮の金与正氏、米韓軍事演習
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 3
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家のプールを占拠する「巨大な黒いシルエット」にネット戦慄
  • 4
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 5
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 6
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 7
    広大な駐車場が一面、墓場に...ヨーロッパの山火事、…
  • 8
    【クイズ】沖縄にも生息、人を襲うことも...「最恐の…
  • 9
    時速600キロ、中国の超高速リニアが直面する課題「ト…
  • 10
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 4
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 5
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 6
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 7
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 8
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 9
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 10
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中