zzzzz

最新記事

日本企業

人手不足からの事業縮小は製造業にも 30年に潜在成長率ゼロ試算も

2017年6月23日(金)18時00分

6月23日、人手不足で生産やサービスを制限するケースが運輸業だけでなく、製造業も含めて広がりを見せてきた。このまま労働力不足が継続すれば、2030年には日本の潜在成長率はゼロ%ないしマイナスに落ち込むとの試算もある。写真は川崎の京浜工業地帯。2月撮影(2017年 ロイター/Issei Kato)

人手不足で生産やサービスを制限するケースが運輸業だけでなく、製造業も含めて広がりを見せてきた。このまま労働力不足が継続すれば、2030年には日本の潜在成長率はゼロ%ないしマイナスに落ち込むとの試算もある。

一方、人口減少は市場規模の縮小を招き、製造業を中心に雇用の固定化は「人余り」につながるとの予測もある。将来の日本経済は、労働需給のミスマッチがさらに拡大しそうだ。

深刻化する投入労働力の減少

国立社会保障・人口問題研究所によると、15歳から64歳までの労働力人口は、2017年の7578万人から27年には7071万人に減少。さらに30年には6875万人まで落ち込む。

日本総研・主席研究員の牧田健氏は、現状の生産性を前提とすると、労働投入量の減少に伴い、2030年代終わりには潜在成長率が現在の0.8%程度からゼロ%に低下。2040年代に入ると、マイナスに転落すると予測する。

ある経済官庁の幹部は、人手不足が特定の業種から幅広い分野に広がるようなら、生産や成長率に悪影響が出る可能性があり、そうした点を注視していくとの見解を示した。

実際、6月ロイター企業調査では、あらゆる業種で事業制約への懸念がうかがえる結果となった。人手不足により今後3年間、事業を制限せざるを得なくなるとみている企業は全体の17%に達した。

自動車メーカーでは「製造現場で派遣の期間工確保に困窮している」状況で、「現場技術者の不足による受注活動の制約を懸念している」(金属製品)、「人手不足により納期遅延となり、受注を失した」(機械)との声もあった。 

<AI普及に技術者不足のハードル> 

政府は、女性や高齢者の労働市場への参加を促進し、労働力不足に対応しようとしているが、日本総研の牧田氏は、その程度のプラス要因では急速な労働力人口の減少を補えないとみている。

民間企業では、製品やサービスの高度化と合わせ、人手不足への対応策としてAI(人口知能)やIoT(モノのインターネット化)の導入を始めているところもある。

しかし、「AIやIT(情報技術)、IoTを扱う人材が不足している」(輸送用機器)といった声が聞かれる(6月ロイター企業調査)。

政府は高度外国人材の呼び込みや、中堅技術者の学び直し、小学校でのプロミング授業の導入などを打ち出しているが、効果を期待できるのは20年代に入ってからとなりそうだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:肥満症薬に熱視線、30年代初頭までに世界

ワールド

イスラエル、新休戦案を提示 米大統領が発表 ハマス

ビジネス

米国株式市場=ダウ急反発、574ドル高 インフレ指

ワールド

共和党員の10%、トランプ氏への投票意思が低下=ロ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    F-16はまだか?スウェーデン製グリペン戦闘機の引き渡しも一時停止に

  • 2

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入、強烈な爆発で「木端微塵」に...ウクライナが映像公開

  • 3

    インドで「性暴力を受けた」、旅行者の告発が相次ぐ...なぜ多くの被害者は「泣き寝入り」になるのか?

  • 4

    「人間の密輸」に手を染める10代がアメリカで急増...…

  • 5

    「ポリコレ」ディズニーに猛反発...保守派が制作する…

  • 6

    「集中力続かない」「ミスが増えた」...メンタル不調…

  • 7

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 8

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像を…

  • 9

    34罪状すべてで...トランプに有罪評決、不倫口止め裁…

  • 10

    都知事選の候補者は東京の2つの課題から逃げるな

  • 1

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 2

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 3

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 4

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲー…

  • 5

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程で…

  • 6

    仕事量も給料も減らさない「週4勤務」移行、アメリカ…

  • 7

    都知事選の候補者は東京の2つの課題から逃げるな

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    少子化が深刻化しているのは、もしかしてこれも理由?

  • 10

    メキシコに巨大な「緑の渦」が出現、その正体は?

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 9

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 10

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像を…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中