最新記事

原発

世界で盛り上がる廃炉ビジネス 2021年には約1兆円市場に

2017年6月21日(水)14時30分

放射性物質の漏えいがどれほど破滅的な結果をもたらすかは、2011年の東日本大震災による巨大津波が引き起こした福島第1原発事故、そして1986年のチェルノブイリ原発事故によって、世界中の人々の記憶に刻まれている。

仏アレバは最近、スウェーデン電力大手バッテンフォールがドイツに保有する806メガワット規模の原発における、圧力容器内部の解体業務を受注した。この契約には、同じバッテンフォールが保有する1402メガワット規模のクリュンメル原発に関するオプションも含まれている。

アレバはこの現場に、新型のプログラム可能ロボットアーム「アズーロ」を初めて投入する。福島原発事故を受けて2022年までにすべての原発を閉鎖することを決定し、世界最大の廃炉市場となったドイツにおいて、アレバは新型ロボットアームの活用を通じてライバルより優位に立ちたいと考えている。

「アズーロ」は水中で動作する。液体が圧力容器のコンポーネントからの放射線を吸収し、放射能漏れと周辺エリアの汚染リスクを減らすからだ。作業を開始する前に、格納容器内は水で満たされる。

アレバのドイツ事業部門は、「アズーロ」などの技術革新を含めた研究開発に、年間売上高の約5%に相当する約4000万ユーロ(約49億円)を投じている。ちなみに、プライスウォーターハウス・クーパースによれば、昨年、世界で最も多くの研究開発費を投じた上位1000社の平均では、売上高の4.2%となっている。

アレバは独電力大手EnBWが保有するフィリップスブルク2号機やグンドレミンゲン2号機における圧力容器内部の解体事業の入札で、ウェスチングハウスを退けて落札したが、事情に詳しい業界筋によれば、このロボットアーム技術も貢献したという。

アレバとEnBWはコメントを拒否。また、米国事業が3月に破たん申請したウェスチングハウスからのコメントも得られなかった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB、近くバランスシート拡大も 流動性対応で=N

ビジネス

再送-TOPIX採用企業は今期6.6%減益予想、先

ワールド

焦点:シリア暫定大統領、反体制派から文民政府への脱

ワールド

台湾輸出、10月はAI好調で約16年ぶり大幅増 対
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 6
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 7
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 8
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 9
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 10
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 8
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中