最新記事

保護主義

G20「トランプ保護主義」懸念は緩和 キーマン不在に困惑も

2017年4月22日(土)12時46分

4月20日、当初は過激な保護主義的政策を唱えていたトランプ氏だが、その後大幅に態度を軟化させており、G20財務相・中央銀行総裁会議のためワシントンに集まった世界の要人らの間でも、破壊的とは程遠い政権になるとの見方が定着しつつある。写真はG20各国の旗。仏カンヌで2011年11月撮影(2017年 ロイター/Dylan Martinez)

トランプ米大統領は間もなく就任から100日を迎える。当初は過激な保護主義的政策を唱えていたトランプ氏だが、その後大幅に態度を軟化させており、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議のためワシントンに集まった世界の要人らの間でも、破壊的とは程遠い政権になるとの見方が定着しつつある。

トランプ氏は公約通り環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱を表明した。しかしその他の問題についてはずっと穏当で、北米自由貿易協定(NAFTA)からの離脱を控え、中国を為替操作国に認定せず、温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」にも残留する可能性を示唆している。

米医療保険制度改革(オバマケア)改廃や入国制限は議会や司法に阻まれ、主要な政権ポストの任命も遅れている。外国の政策当局者の中には、米政権内でどの人物が自分の交渉相手に当たるのか、未だに分からないと話す者もいる。

ただ外国当局者らは、これまで下された重要な政策決定が予想よりはるかに中道的な内容に落ち着いたとの見方で一致している。

欧州連合(EU)欧州委員会のモスコビシ委員(経済・財務・税制担当)は、ムニューシン米財務長官と米国家経済会議(NEC)のゲーリー・コーン委員長の2人がトランプ政権に対する懸念を和らげたと指摘する。これは外国当局者の間で広く共有されている見解だ。

「ムニューシン氏とコーン氏は良識ある人々で、開放経済には何が必要かをわきまえており、話しが通じる相手のようだ」とモスコビシ委員は話した。

予想より現実的な政権だという感想は、トランプ氏に激しく攻撃されたメキシコも共有している。

メキシコのバネッサ・ルビオ・マルケス財務次官は19日のセミナーで、トランプ政権との協議はこれまでのところ「メキシコが対処できそうな」一握りの争点に絞られている、と説明。「依然として不確実性は大きい」が、「かっちりとした継続的な対話ができている」と述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任し国連大使に指

ワールド

米との鉱物協定「真に対等」、ウクライナ早期批准=ゼ

ワールド

インド外相「カシミール襲撃犯に裁きを」、米国務長官

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官を国連大使に指名
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中