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夫が家事を分担しない日本では、働く女性の不満は高まるばかり

2016年12月14日(水)15時30分
舞田敏彦(教育社会学者)

 この点をさらに詳しく見てみる。同じ調査では,パートナーとの家事分担状況も尋ねている。自分の方がやっている女性は「夫分担度低群」、同じくらいか夫のほうがやっている女性は「夫分担度高群」としよう。日本の25~54歳の有配偶・有業女性で見ると、前者は100人、後者は44人だ。

<図2>は、両群の家庭生活の満足度の違いをグラフにしたものだ。「満足」「どちらでもない」「不満」の3つのカテゴリーにまとめた。

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 2つの群の回答分布には有意差が認められる。夫が家事をする女性の方が、家庭生活の満足度は高い。よく言われることだが、データでも可視化できる。

【参考記事】新卒採用で人生が決まる、日本は「希望格差」の国

 しかし、夫の家事分担をただ促せば良いという話でもないだろう。夫に家事分担を「してもらう(申し訳ない)」と、感じる女性もいる。夫の家事分担度が高くても、後ろめたさを感じれば、家庭生活の満足度は高まらない。三世代同居の世帯に、こうしたケースは多いのではないかと推測される。

 まずは「家事は女性がすべし」という社会的呪縛を解消しなければならない。このままでは、今後働く女性はますます追い詰められることになる。

<資料:「Family and Changing Gender Roles IV - ISSP 2012」>

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