最新記事

トラベル

スイスの老舗ホテルで、夏の山旅と白銀の冬旅を満喫。

ホテル・モンテ・ローザ ツェルマット/スイス

2016年12月6日(火)16時00分
せきねきょうこ ※madame FIGARO.jpより転載

秋のモンテローザとマッターホルン。Photo: Hotel Monte Rosa

 スイスの山岳地帯ツェルマットの老舗名ホテル「ホテル・モンテ・ローザ」は、1853年、アレキサンダー・ザイラーにより、質素な木造ロッジとして登山家たちのためにオープンしました。1860年からは、世界的なアルピニストとして知られるエドワード・ウインパーが定宿とし、1865年7月13日に、彼はこの宿から出発しマッターホルン初登頂に成功したのです。モンテ・ローザはこの時以来、偉大な登山家の定宿として世界的な名声を得るようになり、後の登山黄金時代を支えたホテルとしてパイオニア的存在となったのです。

 老舗ホテルであるモンテ・ローザは、山岳ホテルのパイオニアとしてデビューした時代から、やがて次なる黄金期を迎えます。それは、19世紀末から20世紀にかけてのベル・エポック時代。この時代になるとホテルにはすでにブッフェやアフタヌーンティーなど、いまや世界中のホテルがあたりまえのようにサービスするホテル文化の概念を宿し、すでに提供していた事実には驚くばかり。そんな至極のホテルには、いまなお、日本の多くの登山家やホテルファンが泊まりに訪れています。

01-vonvoyage-160923.jpgモンテ・ローザのリッチな朝食。 Photo: Hotel Monte Rosa

02-vonvoyage-160923.jpg山小屋らしい温もりの木造スーペリアルーム「ENZIAN(リンドウの花)」。 Photo: Hotel Monte Rosa

03-vonvoyage-160923.jpg夏の間オープンされるテラスレストランが人気。 Photo: Hotel Monte Rosa

 スイスアルプスの中でも圧倒的に人気の高い山マッターホルン(標高4,478m)は、その姿に敬意を払うほど神々しさに溢れています。天を突き刺すような雄壮な形、夏でも解けない万年雪、人を寄せ付けようとしない猛々しさに溜息が出ます。そのマッターホルンの麓にあるのがツェルマット村(標高1,620m)であり、ヴァレー州の典型的な伝統を宿しています。古くから環境保全を訴える村には、ガソリン車は商用車以外村に入れません。だからホテルの送迎も電気自動車や馬車が対応し、それが観光的にも情緒溢れる姿になっています。

04-vonvoyage-160923.jpgめったに見られない赤い山肌、夕焼けに赤く染まるマッターホルン(2016年7月)。 Photo: Barbara Zaugg

05-vonvoyage-160923.jpg夏はこうしてマッターホルンを前に付近を爽快にハイキング。 Photo: Kyoko Sekine


 ホテル館内には昔ながらの家具・調度品が残され当時の面影を残しています。レストランは3カ所、夏はテラスレストランもオープン、今年は、稀な現象である夕陽に染まった"赤いマッターホルン"を見ることに成功しました。マッターホルンとともにあるホテルはいま、清々しい夏が過ぎ去り紅葉の秋に突入。間もなく訪れる白銀の冬に向けてゲストを迎える準備中です。(K.S)

(参考記事)自由な感性が光る旅館、雪と緑のシーン。

06-vonvoyage-160923.jpg秋のモンテローザとマッターホルン。夏が終わり秋の宵闇の頃、雲に隠れるミステリアスな光景。 Photo: Hotel Monte Rosa

07-vonvoyage-160923.jpg冬のモンテローザとマッターホルン。白銀に包まれたツェルマット村と美しいマッターホルン。1年のうちでスキーの季節が村の最盛期。 Photo: Hotel Monte Rosa

(参考記事)海のない山岳国に水上ヴィラ。まるで気分は地中海リゾート!


Hotel Monte Rosa
Bahnhofstrasse 80, CH-3920 Zermatt
Switzerland
Tel: +41-27-966-03-33
http://www.monterosazermatt.ch/en
部屋数:41、施設:レストラン、テラスレストラン、バー、ライブラリィ、会議室、他、
スパ(姉妹ホテルMont Cervin Palace提供)
室料:参考価格/CHF290〜CHF1080(2名・ブッフェ朝食付室料)
アクセス:ツェルマット駅徒歩5分
問い合わせ先:直接現地へ、info@monterosazermatt.ch
または日本の各旅行代理店

※無断転載禁止

※当記事は「madame FIGARO.jp」からの転載記事です。

Figarojp_logo200.jpg

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:トランプ氏なら強制送還急拡大か、AI技術

ビジネス

アングル:ノンアル市場で「金メダル」、コロナビール

ビジネス

為替に関する既存のコミットメントを再確認=G20で

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型ハイテク株に買い戻し 利下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ暗殺未遂
特集:トランプ暗殺未遂
2024年7月30日号(7/23発売)

前アメリカ大統領をかすめた銃弾が11月の大統領選挙と次の世界秩序に与えた衝撃

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理由【勉強法】
  • 2
    BTS・BLACKPINK不在でK-POPは冬の時代へ? アルバム販売が失速、株価半落の大手事務所も
  • 3
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子どもの楽しい遊びアイデア5選
  • 4
    キャサリン妃の「目が泳ぐ」...ジル・バイデン大統領…
  • 5
    地球上の点で発生したCO2が、束になり成長して気象に…
  • 6
    カマラ・ハリスがトランプにとって手ごわい敵である5…
  • 7
    トランプ再選で円高は進むか?
  • 8
    拡散中のハリス副大統領「ぎこちないスピーチ映像」…
  • 9
    中国の「オーバーツーリズム」は桁違い...「万里の長…
  • 10
    「轟く爆音」と立ち上る黒煙...ロシア大規模製油所に…
  • 1
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラニアにキス「避けられる」瞬間 直前には手を取り合う姿も
  • 2
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを入れてしまった母親の後悔 「息子は毎晩お風呂で...」
  • 3
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」、今も生きている可能性
  • 4
    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…
  • 5
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理…
  • 6
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子…
  • 7
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 8
    「失った戦車は3000台超」ロシアの戦車枯渇、旧ソ連…
  • 9
    「宇宙で最もひどい場所」はここ
  • 10
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った猛烈な「森林火災」の炎...逃げ惑う兵士たちの映像
  • 3
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像
  • 4
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 5
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラ…
  • 6
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 7
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを…
  • 8
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」…
  • 9
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 10
    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中