最新記事

キャリア

自分の代わりに自分を宣伝してくれる人を育てよ

2016年12月1日(木)19時44分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

abdone-iStock.

<人や組織を動かし、成功を手に入れるには影響力が不可欠。そんな影響力を効果的に獲得するには、忠実な追随者から成る「トライブ(部族)」を作ればいいという>

 米タイム誌の「世界で最も影響力がある100人」にはそうそうたる顔ぶれが並んでいる。だが、そもそも影響力とは何だろうか。「他に働きかけ、考えや動きを変えさせるような力」(デジタル大辞泉より)――確かにそうなのだが、実感しづらく、縁遠いものに感じる人もいるかもしれない。

 しかし、影響力は何も、有名人や政治家だけが持っているものではない。実際、ビジネスコンサルタントのスティーブン・ピアスによれば、仕事でふさわしい給与をもらえるかどうか、会議での発言がまともに取り上げられるかどうかも、すべて影響力次第なのだ。

 ピアスは世界各地の有力者に取材し、新刊『ここぞというとき人を動かす自分を手に入れる 影響力の秘密50』(服部真琴訳、CCCメディアハウス)で、影響力を獲得する50のノウハウを提供している。

 ここでは本書から一部を抜粋し、4回に分けて掲載する。第3回は「15 トライブを作り育てる」より。影響力を持ちたいとしても、自己宣伝には注意が必要。第三者をうまく使うべきというが、そのために必要なこととは?


『ここぞというとき人を動かす自分を手に入れる
 影響力の秘密50』
 スティーブン・ピアス 著
 服部真琴 訳
 CCCメディアハウス

※シリーズ第1回:給料が安いと感じているあなたは、おそらく影響力が足りない
※シリーズ第2回:影響力を身につけるには有名人に「便乗」すればいい

◇ ◇ ◇

15 トライブを作り育てる

 影響力が最もよく育つのは、第三者を通じたときだ。自己宣伝は、やり方を間違えれば「権力志向むき出し」に見える。長期的な目で見れば、影響力の行方を左右するのは自分の代わりに自分を宣伝してくれる人々。宗教からテクノロジートレンドまで、普及するアイデアと不発に終わるアイデアを分けるのは、少数の初期採用者や熱心な信奉者という存在だ。「トライブ(部族)」を作ること、あるアイデアや共通の関心への情熱で結ばれた忠実な追随者から成るグループを作ることは、効果的な影響力獲得法になる。

 問題は、フォロワーにはリーダーが必要だということ。彼らを率い、育て、支える人間がいなくてはならない。そんなの当たり前? だが影響力が欲しくても、リーダーシップの重みを担えない人はたくさんいる。アイデアの力に頼るだけで、アイデアを普及させる役目を人任せにする人が。

 まず必要なのは、人を引き寄せること。磁石になるのは共通の関心、あるいは素晴らしい未来像かもしれない。なんであれ、自分のアイデアには従うだけの価値があると信じなければならない。それができない人は珍しくない。だからこそ、人類は今も癌を完全に治療できず、地球温暖化を解決できていないのかもしれない。方法は見つかっているのに、見つけた人が発表する自信を持てないせいで。

 人気ブロガーのダニエルはこう語る。「考えを表明すること、伝えたいメッセージを公の場で語ることには勇気がいる。でもそれをすれば、反応してくれる人、賛成してくれる人が1人か2人はいるかもしれない。それは素晴らしい瞬間であり、今後を決定する瞬間でもある。今こそ前進し、コミュニティを作り、育て、率いる必要がある。フォロワーを獲得すれば終わりではない。それが始まりだ」

【参考記事】部下の話を聞かない人は本当のリーダーではない

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米住宅価格指数、2月は前月比1.2%上昇 1年10

ワールド

米コロンビア大、反イスラエルデモ参加者が建物占拠 

ワールド

G7エネ相、石炭火力35年までの廃止で合意 日独に

ビジネス

ユーロ圏成長率、第1四半期は予想上回る伸び 景気後
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    衆院3補選の結果が示す日本のデモクラシーの危機

  • 5

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 6

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 7

    「瞬時に痛みが走った...」ヨガ中に猛毒ヘビに襲われ…

  • 8

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 9

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 10

    日銀が利上げなら「かなり深刻」な景気後退──元IM…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中