最新記事

キャリア

自分の代わりに自分を宣伝してくれる人を育てよ

2016年12月1日(木)19時44分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

満たされていない基本的ニーズに応える

 魅力的なアイデアとは、ターゲット層の基本的な要求に応えるものだ。心理学者のクレイトン・アルダファーは、人間の基本的欲求を「生存の欲求」「関係の欲求」「成長の欲求」の3つに分類している。これを参考に、アイデアのアピール度を確かめよう。あなたの提案は人々が繁栄し、交流し、能力を成長させるために役立つか。

 繁栄の手助けをするには、健康、富、幸福という基本をおさえなければならない。どれでもかまわない。どれかに貢献する何かを提案すれば、少なくとも注目は得られる。いい例が、金融ジャーナリストのマーティン・ルイスだ。彼が創設したウェブサイトは、イギリスで絶大な人気を誇っている。何を提供したのか、なぜそこまで成功したのか。その答えはサイト名にある――「マネー・セービング・エキスパート(節約専門家)」だ。このサイトには、節約のヒントがずらり。大半は数ペンスが浮く程度のアイデアだが、カネを節約して最大限に活用したいという欲求に、しっかり応えている。

 さらに人気があるサイトといえば、ほとんどがSNSだ。これこそ、リアルかバーチャルかを問わず、他者と関係したいという欲求の現れ。だからといって、フェイスブックに負けないコミュニティをつくる必要はない。インターネットの素晴らしい点は、どれほどマニアックな趣味でも仲間が見つかること。ターゲット層を正確に定義し、彼らが持つ「関係の欲求」に的確に応えれば、トライブを作るチャンスが手に入る。

 最後は、能力開発や学習への欲求だ。オンラインで受講できる公開講座は、教育のあり方に革命を起こし始めている。あなたのアイデアはスキルの開発や向上、新しい重要な知識の習得に貢献できるだろうか。

トライブを作って育てる

 すべての人間関係と同じく、トライブを長続きさせるには努力がいる。現実世界であれオンラインであれ、必要なのは活動を率いる責任を担う覚悟。集まる場所を設定し、日時を連絡し、議論のテーマやコメントを更新する。こうしたタスクを果たさなければ、あなたのトライブは生き残れない。いちばん大切なのは「メンバーでよかった」と思ってもらうこと。活発な意見交換を促し、刺激的な問いを投げかけ、集まる場所に変化を持たせ、メンバーと「1対1」の関係を築き、意見を求め、もらった意見に感謝しよう。

 トライブの作り方について、ある人材コンサルタントはこう話す。「6人ほどを同時に採用したことがある。このメンバーを最高のチームにしよう、共同体意識を育ててベストを引き出し合える関係を作り、社内で最も報酬が高いグループにしようと思った。自分たちを『Aチーム』と名づけ、月曜の夜は一緒にピザを食べに行き、時には家族を交えて週末を過ごした。チームのパフォーマンスは、1年ほどの間とはいえ素晴らしかった。相互協力と儀式のような行動を通じて、ものすごいパフォーマンスを達成していた」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日経平均は3日ぶり反落 最高値更新後に利益確定 方

ビジネス

アングル:米中の関税停止延長、Xマス商戦の仕入れ間

ビジネス

訂正-午後3時のドルは147円後半でもみ合い、ボラ

ビジネス

ソフトバンクG、不振のインテルに20億ドル出資 米
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 5
    AIはもう「限界」なのか?――巨額投資の8割が失敗する…
  • 6
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 7
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 8
    アラスカ首脳会談は「国辱」、トランプはまたプーチ…
  • 9
    「これからはインドだ!」は本当か?日本企業が知っ…
  • 10
    広大な駐車場が一面、墓場に...ヨーロッパの山火事、…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 4
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 5
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 6
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 7
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 8
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 9
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 10
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中