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日米関係

トランプいよいよ明日外交デビュー アジアへの関与を安倍首相と確認

2016年11月16日(水)19時02分

「これ以上となると、米兵の給与まで負担することになる。日本の傭兵になるので、米側が認めないだろう」と日本の防衛省幹部は指摘する。

 より可能性が高いのは、日本の外交・軍事面の役割拡大に話が及ぶこと。安全保障関連法を整備し、集団的自衛権の行使など自衛隊の任務を広げた安倍政権の方針とも一致する。

 トランプ氏のアドバイザーは「安倍首相は国際社会に向き合う日本の姿勢を変えることに非常に熱心だ」と指摘。「(トランプ氏は)耳を傾けるだろう」と語る。

 前出の防衛省関係者は「自衛隊は南シナ海で哨戒活動を、という議論がいずれ再び出てくるかもしれない」と話す。

経済政策に溝

 経済分野では安倍首相が自由貿易の重要性を訴える見通しだが、環太平洋連携協定(TPP)からの離脱を表明しているトランプ氏との溝は、簡単に埋まりそうにない。

「日本は旗を振り続ける」と日本の外務省関係者は言う。「しかし、トランプ次期大統領から強い反発が出てきたら、われわれの努力が水の泡となる。この話は慎重に扱わないといけない」と同関係者は話している。

 トランプ次期大統領と安倍首相は、政治家としての背景は対照的だ。一方は外交、軍事の経験がない初の米大統領。もう一方は政治家一族で生まれ育った。経済政策についても意見の相違が見られる。

 同時に、2人には信頼関係を構築しやすい共通点もあるという。どちらも「強い国家の復活」を目指し、ロシアとの関係を重視。中国の台頭に警戒している。

 拓殖大学海外事情研究所長の川上高司教授は「ケミストリーは合うと思う。2人とも直感で決めて動く傾向がある。自国の国益を優先する現実主義者でもある」と話す。

 (リンダ・シーグ、デービッド・ブランストロム、久保信博、ウィリアム・マラード、マット・スペタルニック 編集:田巻一彦)

[東京/ワシントン 16日 ロイター]


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