最新記事

日本経済

小売業界「弱肉強食」 スーパー、百貨店跡に居抜きでドンキ、ニトリ進出

2016年11月5日(土)21時21分

<出店コストは半分以下も>

今中間期、J.フロント リテイリング <3086.T>や三越伊勢丹ホールディングス <3099.T>など大手百貨店各社は軒並み通期業績見通しの下方修正に踏み切った。訪日外国人(インバウンド)の需要が想定以上に弱まったうえ、百貨店の主要顧客だった中間層の需要の低迷が続いているためだ。

Jフロントの山本良一社長は「百貨店は売上収益と経費の両面で抜本的な構造改革が急務」と危機感を持つ。非効率部分の面積圧縮、不動産賃貸への転換も選択肢としながら「集客力、収益力を伴った魅力ある売り場づくりを進める」と宣言。非効率部分の代表例として、百貨店のメーン事業だった婦人服の売り場を挙げ、他業態への賃貸も含めて効率化を進める意向を示している。

「居抜き物件の再生の相談が引きも切らずやってきて、それに追われて大わらわな状況」と語るのは、ドンキホーテホールディングス <7532.T>の大原孝治社長。GMSなどの大量閉店が続く現状を「千載一遇のチャンス」と言い切る。 家電量販店もGMSも店舗網縮小の傾向にあり、拡大基調にある業態が限られている。特に新規出店需要の少ない郊外では、ドンキへの出店要請が多いという。同社の16年6月期の新規出店は40店舗と過去最多だったが、このうち34店舗が既存店舗をそのまま活用する「居抜き物件」。17年6月期についても「80%程度は居抜きになる」との見通しを示す。

小売店舗は一定周期で改装投資が必要となるが不振店舗ではそれがままならず、店舗の老朽化がさらなる客離れを引き起こすなど、悪循環に陥ってしまう。一方、出店場所を探す企業にとっては、「居抜き」は出店コストの抑制につながる。両者にとってメリットが大きい。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米の雇用主提供医療保険料、来年6─7%上昇か=マー

ワールド

ウクライナ支援の有志国会合開催、安全の保証を協議

ワールド

中朝首脳が会談、戦略的な意思疎通を強化

ビジネス

デジタルユーロ、大規模な混乱に備え必要=チポローネ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...地球への衝突確率は? 監視と対策は十分か?
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中