最新記事

ウーバー

都会の空を「空飛ぶタクシー」でいっぱいにするウーバーの未来構想

2016年10月28日(金)14時20分
アンソニー・カスバートソン

UBER Elevate

<タクシー配車サービスのウーバーが、全自動ドローンを使った「空中交通システム」構想を発表。機体メーカーや関係当局を巻き込む野心的な構想だが、その現実味は?>

 2030年までには、道路や建物を飛び越えて、客を乗せて目的地まで運ぶ全自動ドローンが都市部の空を飛び回ることになる――もしもウーバーの思い通りになれば、の話だが。

 米配車サービス「ウーバー」の製品担当主任ジェフ・ホールデンは今週、垂直離着陸(VTOL)飛行機を使った「空中ネットワーク」の将来構想を、99ページの詳細な白書にまとめて公表した。

webt161028-02.jpg

 最近ウーバーは、タクシーに自動運転車を投入することを発表したが、それすらたいした話ではないように見えてしまう白書だ。しかしウーバーがVTOL機を製造するわけではない。むしろ、「空中」交通システムがどのようなものになるか、機体メーカーがどうVTOL機の製造に取り組んだら良いかを提示した白書だ。もちろん最終的には、ウーバーが空中ネットワークを商業化して収益を上げるのが目標だ。

【参考記事】ウーバーと提携したトヨタが持つ「危機感」

十数社が機体を開発中

 白書が示した未来構想では、自動車で2時間かかる移動が15分に短縮され、道路や橋、トンネルといった既存の交通インフラは、地上を走る自動車による混雑から解放される。

「最新の技術進歩によって新しいタイプのVTOL飛行機の製造が現実的になった。十数社の企業が、多くの異なった機体デザインをベースに、VTOL機の実用化に熱心に取り組んでいる」と、白書は記している。

【参考記事】「タクシー業界の敵」で「破壊的」なUberとは

 今日使われている技術で最もVTOL機に近いのはヘリコプターだが、ホールデンは、ヘリコプターは騒音がひどく、効率性が低く、大気汚染も引き起こすし、費用がかさむと指摘している。

 VTOL機を実用化するうえで最大の障害となるのは、法規制やバッテリー技術、信頼性、費用、安全性だ。しかしホールデンは、こうしたすべての障害を克服する解決策が、近い将来見つかるだろうと記している。

【参考記事】自動車はどこまで自動化すれば自動運転車になる?

「今回の白書は実現に向けた行程のスタートを意味する。ウーバーはこれから、関連企業やインフラ・規制関係当局をはじめ、都市自治体、自動車メーカー、サービス利用を見込める顧客代表、地域コミュニティなどにアプローチして、この都市型空中交通システムの意義を認識し、導入を検討するように働きかけていく」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 7
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 8
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中