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英EU離脱

「ハードブレグジット」は大きな間違い?

2016年10月19日(水)11時00分
ジョシュア・キーティング

 当初ブレグジットに反対していたメイ個人はソフト路線を支持しているとみられるが、ブレグジットに賛成した有権者を突き動かしたのはイギリスの主権と移民問題への懸念だ。そのため彼女は先週のスピーチで、EU市場へのアクセスを追求していくが、優先すべきは主権の回復と移民対策だと語った。

 だがイギリス国民の関心事は、本当に経済よりも移民問題なのだろうか。

【参考記事】関税率10%なら英国の自動車産業は壊滅する

 先日実施された世論調査では、ぎりぎりの過半数がソフト路線を支持し、大半の人々がEU圏内からこれまでに流入した移民は追い出すべきではないと回答した。ブレグジット支持派の議員らが国民投票前に、経済への影響を有権者に正直に説明していなかったのも事実だ。

 いずれにせよ、事態は既に動きだした。メイは二者択一は「誤った二極化」として退けているが、彼女の演説はイギリスがハード路線に向かう意思表明とおおむね受け止められている。この演説を受けてドイツのメルケル首相も、EU市場への参入は人の移動の自由などを定めたEUの基本原則を受け入れることが大前提だと牽制した。

 つまり、特別待遇は認めないということだ。

© 2016, Slate

[2016年10月18日号掲載]

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