最新記事

韓国

韓国腐敗防止法が生む報奨狙いの「ランパラッチ」

2016年10月7日(金)10時48分

 消費や娯楽関連企業は、この法律で最大11兆6000億ウォンの損失を被る可能性がある、と韓国経済研究院は6月に予想した。

 公務員などを対象に同法が定めた食事接待の上限は3万ウォン、贈り物は5万ウォン、伝統的に封筒に包まれて受け取る慶弔費は10万ウォンとなっており、今や「3-5-10ルール」として知られている。

 違反者は罰金を支払う必要があるが、1回に100万ウォン超、年間で計300万ウォンを超える贈り物を受け取るなど、深刻な違反については刑事罰の対象になる。

 経済界は、早急な対応を余儀なくされている。チェボル(財閥)と呼ばれる韓国複合企業のロビー団体、韓国産業連合会(FKI)は先月8日、約400人の参加者を集め、企業役員がどう法律を順守すべきかについてセミナーを開いた。

「ランパラッチ」

 韓国では、「パパラッチ」という言葉は、セレブを追いかけるカメラマンだけでなく、信号無視や吸殻のポイ捨てといった違反行為を通報し、報奨金を得る個人のことも指している。

 発案した元最高裁裁判官の名前から「金英蘭(キムヨンラン)法」と呼ばれる今回の腐敗防止法は「ランパラッチ」という造語を生んだ。

 ムンさんは、生徒に結婚式や葬式に潜り込む方法を探すよう教えている。「誰をターゲットにするか調べないといけない」とムンさんは言う。「上流階級のなかで、誰が葬式を催すのか、新聞のお悔やみ欄でチェックしなさい」

 ムンさんの学校は「ランパラッチ」訓練の授業料はないが、隠しカメラ付きのペンや眼鏡といった道具を生徒に売っている。最近の授業には10人の生徒が参加していた。

 その1人、46歳になるモンゴル出身の主婦は、マンションを購入できるほど十分な資金を得たいと言う。ただ、愛国心も1つの動機だと明言した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ガザ停戦案、ハマスは修正要求 米特使「受け入れられ

ワールド

米国防長官、「中国の脅威」警告 アジア同盟国に国防

ビジネス

中国5月製造業PMIは49.5、2カ月連続50割れ

ビジネス

アングル:中国のロボタクシー企業、こぞって中東に進
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシストの特徴...その見分け方とは?
  • 2
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が知らないアメリカの死刑、リアルな一部始終
  • 3
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 4
    「ホットヨガ」は本当に健康的なのか?...医師らが語…
  • 5
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 6
    ペットの居場所に服を置いたら「黄色い点々」がびっ…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 9
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言…
  • 10
    メーガン妃は「お辞儀」したのか?...シャーロット王…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が知らないアメリカの死刑、リアルな一部始終
  • 3
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 4
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 6
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「金の産出量」が多い国は?
  • 10
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 7
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中