最新記事

ブロックチェーン

ブロックチェーンで「紛争ダイヤモンド」撲滅

2016年10月4日(火)17時30分
コインポータル

劣悪な環境でダイアモンドを採掘するシエラレオネの労働者 Finbarr O'Reill-REUTERS

<「紛争ダイヤモンド」をグローバルな貴金属市場から排除することを目的として、ビットコインで話題となったブロックチェーン技術の利用に向かって動き出している>

「紛争ダイヤモンド」撲滅へ 国連後援機関がブロックチェーン利用を検討

 シエラレオネなど内戦地域で産出されるダイヤモンドのうち、武器の購入などに充てられて紛争の長期化・深刻化を招くことになるダイヤモンドのことを「紛争ダイヤモンド(Blood diamond)」と呼ぶ。これらは別称dirty diamond、war diamondともよばれる。

【参考記事】「血のダイヤ」取引解禁でムガベ高笑い

 こうした紛争ダイヤモンドをグローバルな貴金属市場から排除することを目的として、国連の後援を受けながら活動を続ける団体「キンバリー・プロセス(Kimberley Process)」が、ブロックチェーンの利用に向かって動き出していることが明らかとなった。

 今年の初めには、技術革新の促進を目的とするドバイ・グローバル・ブロックチェーン・カウンシル(Dubai's Global Blockchain Council)と共同で内部的な実証実験を行っていることが明らかにされていた。この報告は詳細なものではないが、今後数ヶ月のうちに更なる情報公開を約束しており、サプライチェーンの課題にブロックチェーン技術を応用することに引き続き関心を持っていることを強調している。

【参考記事】ビットコインだけじゃない、ブロックチェーン技術を使った注目のスタートアップ

ブロックチェーンを利用して統計をモニタリングする

 報告書には次のように書かれている。「キンバリー・プロセス事務局は同技術がもたらす利益について検証しており、ブロックチェーン技術を用いてキンバリー・プロセスの統計をモニタリングするパイロットプログラムに取り組んでいる。このプロジェクトに関する情報は2016年11月の総会で発表する予定だ」

完全なデジタル証明書の導入で、氾濫する偽の証明書を半減させる目的

 この取り組みでは、ダイヤモンドの合法性を証明するキンバリー・プロセスの証明書の偽造を防ごうとしている。現在のシステムには虚偽がまかり通っており、過去数十年の間に偽の証明書がダイヤモンドの販売詐欺を助長してきているという。そのため、改ざん困難な分散型台帳技術によって管理される完全にデジタルな証明書の導入により、そのような問題の緩和を期待する。しかし今のところこうした目標設定を掲げる開発は初期段階にとどまっている。

 従来のシステムには批判が多かった。2014年のThe Guardianの記事では、証明書は個々の石ではなくひとまとまりのダイヤモンドに対して発行され、その後ダイヤモンドはそれぞれカットして売却されるため、「トラッキングシステム無しにはそこで足跡が途絶えてしまう」と指摘されている。ブロックチェーン技術はこうした問題の解決案となることを期待されている。

※当記事は「コインポータル」からの転載記事です。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

テスラ、6月の英販売台数は前年比12%増=調査

ワールド

豪家計支出、5月は前月比+0.9% 消費回復

ワールド

常に必要な連絡体制を保持し協議進める=参院選中の日

ワールド

中国、太平洋島しょ地域で基地建設望まず 在フィジー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 6
    ワニに襲われた直後の「現場映像」に緊張走る...捜索…
  • 7
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 8
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 9
    吉野家がぶちあげた「ラーメンで世界一」は茨の道だ…
  • 10
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 3
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 4
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギ…
  • 5
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 6
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 10
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 7
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 10
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中