最新記事

コロンビア

コロンビア政府と左翼ゲリラの和平合意、国民投票で否決 内戦終結は不透明に

2016年10月3日(月)19時22分

10月2日、コロンビア政府と同国最大の左翼ゲリラ組織、コロンビア革命軍(FARC)による和平合意の是非を問う国民投票の投開票が2日行われ、反対票が賛成票をわずかに上回った。写真はFARCロンドニョ最高司令官。キューバ・ハバナで撮影(2016年 ロイター/Enrique de la Osa)

 コロンビア政府と同国最大の左翼ゲリラ組織、コロンビア革命軍(FARC)による和平合意の是非を問う国民投票の投開票が2日行われ、反対票が賛成票をわずかに上回った。

 半世紀にわたる内戦を終結させるための歴史的合意の行方は不透明になり、サントス大統領が目指して交渉してきた和平の実現はあと一歩で振り出しに戻った。

 キューバでの4年にわたる交渉を経て、9月26日にコロンビア北部のカルタヘナで和平合意文書に署名する式典が開かれたばかりだった。式典には国連の潘基文事務総長や和平交渉を仲介したキューバのラウル・カストロ国家評議会議長、米国のケリー国務長官ら各国要人が出席していた。

 開票結果は反対が50.21%、賛成が49.78%。国中が豪雨に見舞われたせいもあり、投票率は37%にとどまった。

 サントス大統領は国民投票の結果を受けて演説し、交渉の末に合意した停戦は有効との見解を示し、3日には和平合意反対派の中心人物らと会談して今後について話し合うことを明らかにした。また、交渉担当官をキューバに派遣し、FARCのリーダーらとの協議にあたらせるという。

 サントス大統領は「私は諦めない。任期の最後の日まで和平を追求し続ける。それが、われわれの子ども達により良い国を残す方法だからだ」と強調した。同大統領は2018年8月に2期目の任期を追え、再選は許されていない。

 FARCのロンドニョ最高司令官も、キューバの首都ハバナから「将来を構築する武器は言葉のみというFARCの意思をあらためて繰り返す。平和を夢見るコロンビア国民はわれわれを信頼してほしい。平和こそが勝利する」とする談話を発表した。

[ボゴタ 2日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米国務長官、NATO会議欠席へ ウ和平交渉重大局面

ビジネス

米国株式市場=5営業日続伸、感謝祭明けで薄商い

ワールド

エアバス、A320系6000機のソフト改修指示 運

ワールド

感謝祭当日オンライン売上高約64億ドル、AI活用急
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 4
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 5
    「攻めの一着すぎ?」 国歌パフォーマンスの「強めコ…
  • 6
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 7
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 8
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 9
    エプスタイン事件をどうしても隠蔽したいトランプを…
  • 10
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 4
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 7
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中