最新記事

貿易

EU離脱に伴う費用補償、英工場投資拡大の条件=日産

2016年9月30日(金)04時40分

9月29日、日産自動車のカルロス・ゴーン社長兼最高経営責任者(CEO)は、英国の欧州連合(EU)離脱決定で、関税障壁が設けられた場合、英国政府が補償を約束することが、サンダーランド工場へ投資を拡大する条件との認識を示した。写真は2015年7月、横浜で(2016年 ロイター/Yuya Shino)

 日産自動車<7201.T>のカルロス・ゴーン社長兼最高経営責任者(CEO)は29日、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)決定で、関税障壁が設けられた場合、英国政府が補償を約束することが、サンダーランド工場へ投資を拡大する条件との認識を示した。

 自動車業界で「ハード・ブレグジット」に向かう可能性を懸念する声が強まっている現状を浮き彫りにした。英国内で組み立てた車両をEU市場に輸出する際、関税がかかれば、打撃となるためだ。

 ゴーン氏は記者団に「今後数カ月中に投資を行うことが必要なら、英EU離脱の手続き完了まで待てない。そのため英国政府と合意しなければならない」と指摘した。

「自動車に関税障壁ができるのなら、欧州に輸出する自動車メーカー各社に、ある種の補償が受けられるという確約が必要だ」と話した。

 トヨタ自動車<7203.T>のディディエ・ルロワ副社長もこの日、ロイターの取材に対し、関税が課されるようになれば、英工場の操業が厳しくなるとの見方を示した。

 英工場で生産する車両の85%を欧州大陸に輸出しており、競争力の維持が課題と指摘。「仮に85%(の物品に)対する貿易関税を支払う必要があれば、非常に厳しくなるが、英事業、英工場に引き続き注力する考えだ」と話した。

 フォルクスワーゲン(VW)傘下シュコダのベルンハルト・マイアー最高経営責任者(CEO)は、英国が可能な限り速やかに、透明感を払しょくすることが重要と指摘した。

[パリ/ロンドン 29日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

マスク氏、政府職を離れても「トランプ氏の側近」 退

ビジネス

米国株式市場=S&P500ほぼ横ばい、月間では23

ワールド

トランプ氏の核施設破壊発言、「レッドライン越え」=

ビジネス

NY外為市場=ドルまちまち、対円では24年12月以
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中