最新記事

北朝鮮

中国「未完の橋」が示す北朝鮮との蜜月の終わり

2016年9月15日(木)10時50分

 中朝が米国率いる国連軍と戦った1950─53年の朝鮮戦争において、丹東は中国人民義勇軍の兵站前線となったため、丹東と北朝鮮のあいだには感情的な絆が根付いている。

 朝鮮人参や、蛇や薬草で満ちた蒸留酒など、しばしば質の悪そうな北朝鮮の製品で店先は一杯になっている。北朝鮮政府が経営するレストランでは、同国のウエートレスが好奇心旺盛な旅行客に向けて愛国的な歌を歌っている。

 こうした両国関係は、北朝鮮による核やミサイルの実験に加え、北朝鮮の住民や治安部隊に責任があるとされる断続的な銃撃や殺人によって、非常に緊迫化している。

「北朝鮮が嫌いだ。あちらの警察は、冬にイモやトウモロコシなどを売りに出掛けた農家を銃撃したりした」と丹東で農業を営む70歳のZhao Guangfuさんは語る。

 中国の延辺大学朝鮮韓国研究センターでディレクターを務める金強一氏は、中国は、北朝鮮に対して自身が「悩ましい」立場にあることを自覚していると指摘する。

「われわれは、彼らに対し改革や開放を迫り、変革を求めるかどうか選択することができる」と金氏は語る。「もちろん政治的・軍事的制裁は強化される必要がある。しかし、民間レベルの開放や交流もまた強化されなければならない」

門戸を閉じては、うまくいかないと同氏は言う。「それで本当に変えることができるのか」

(Sue-Lin Wong記者 翻訳:高橋浩祐 編集:下郡美紀)

[ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日経平均は3日ぶり反落、米関税にらみ上値重い 中国

ワールド

ウクライナ第2の都市に無人機攻撃、子ども3人含む2

ビジネス

国内ファンドのJAC、タダノ株を11.02%取得

ビジネス

日産、転換社債と普通社債で7500億円調達 リファ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗」...意図的? 現場写真が「賢い」と話題に
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    コンプレックスだった「鼻」の整形手術を受けた女性…
  • 7
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 8
    「シベリアのイエス」に懲役12年の刑...辺境地帯で集…
  • 9
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 10
    ギネスが大流行? エールとラガーの格差って? 知…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 6
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 7
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 8
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 9
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 10
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 10
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中