最新記事

米大統領選

史上最悪の銃乱射、トランプが「イスラム入国禁止」正当化

2016年6月13日(月)15時15分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

Jim Young-REUTERS

<多数の死傷者が出た今回の銃乱射事件は、現場がゲイクラブだったことや犯人がイスラム系でテロ組織との関係が疑われることなどから、秋の本選に向けた政策論争に影響を及ぼしそうだ。共和党のトランプはさっそく、「イスラム入国禁止」主張の正当化を始めた>(事件現場となったフロリダ州のナイトクラブ)

 バラク・オバマ大統領は、事件発生から数時間で声明を出した。「これはテロ行為で同時にヘイト行為であることは明らかだ。アメリカは悲しみと怒りの中で団結し、国民を守る決意を新たにする」と語った。しかし犯行が国外のテロ組織と関係あるかどうかについては、まだ詳細が不明なため「FBIが適切に捜査を進めている」と述べただけだった。

 また現場がゲイ向けのナイトクラブだったことに関連して、「人種や民族、宗教、性的志向にかかわらず、どのアメリカ人に対する攻撃もアメリカ国民全体への攻撃であり、平等と尊厳を尊重するアメリカの根本的価値観への攻撃だ」と非難し、「いかなるヘイト行為、テロ行為もアメリカとその価値観は変えられない」と、攻撃の標的となったLGBTコミュニティへの連帯を呼び掛けた。

 さらに今回の事件が、「簡単に武器を入手して、学校や教会、映画館、ナイトクラブで人々を銃撃できることをあらためて認識させる」と語り、「これが我々の望む国なのかどうか、判断しなければならない。このまま何もしないというなら、それも判断の一つだ」と、銃規制が喫緊の政治課題だという考えを示した。

【参考記事】内容は腰砕けだった、オバマの「銃規制案」

 大統領選で民主党の候補指名がほぼ確実になっているヒラリー・クリントンもフェイスブックを通じてコメントを発表し、「これはテロ行為で、同時にヘイト行為でもある」と、被害者への連帯を呼び掛けた。さらに「戦争で使用される武器が街中に存在してはならないとあらためて考えさせる事件だ。共に立ち上がり、できることをすべてやる決意をする時だ」と、銃規制の必要性を強調した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル、イランガス田にも攻撃 応酬続く 米・イ

ワールド

米首都で34年ぶり軍事パレード、トランプ氏誕生日 

ワールド

米ミネソタで州議員が銃撃受け死亡、容疑者逃走中 知

ワールド

再送-米ロ首脳、イスラエル・イラン情勢で電話会談 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 3
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生きる力」が生んだ「現代医学の奇跡」とは?
  • 4
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 5
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    メーガン妃の「下品なダンス」炎上で「王室イメージ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 7
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中