最新記事

英EU離脱

EU離脱決定で混乱のイギリス、投票やり直しの請願350万人超に

2016年6月27日(月)22時12分

6月26日、英国民投票でEU離脱が決定した英国では、政治的な混乱が続いている。写真は、離脱が決定した翌日の各紙。ロンドンで25日撮影(2016年 ロイター/Neil Hall)

 23日に行われた英国民投票で欧州連合(EU)離脱が決定した英国では、政治的な混乱が続いている。世論の分断は拡大し、国民投票のやり直しを求める署名は350万人を超えた。

 英議会のウェブサイトに集まった国民投票のやり直しを求める署名は350万人超に急増している。議会は10万人を超える署名を集めた請願については議論を検討しなければならないが、法的強制力はない。

 国民投票で残留支持が多数を占めたスコットランド行政府のスタージョン首相は、スコットランドで英国からの独立の是非を問う住民投票を再び実施する可能性は非常に高いと言明。英国がEU離脱を決めたのに伴い、スコットランドをEUに残留させるために必要なことを行う意向も示した。

 国民投票後に実施された英サンデー・ポスト紙による世論調査では、スコットランド住民の59%が英国からの独立を支持すると回答。2014年の国民投票での英国からの離脱票45%をはるかに上回った。

 EU離脱なら英国経済への悪影響は政府の予想以上となる可能性があるとの認識を示していたオズボーン英財務相は、経済政策上の対応について、27日の取引開始前に声明を発表する。

 一方、離脱派を主導し、辞任を表明したキャメロン首相の後継との観測が浮上しているボリス・ジョンソン前ロンドン市長は、英国は今後もEU単一市場へのアクセスを維持する、との考えを示した。

 英国内政治の混乱は、野党・労働党にも及んでいる。残留支持を訴えていたコービン党首の責任を問う声が強まるなか、26日までに同党の「影の閣僚」12人が党首への支持を撤回した。

各国の反応

 EUの2大加盟国であるドイツとフランスの外相は週末に共通の立場を強調する共同声明を出したが、今後の英国への対応をめぐる両国の政治家の意見には大きな隔たりがみられた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

利上げの可能性排除せず、経済指標次第=米シカゴ連銀

ビジネス

欧州インフレの軟着陸、可能だが確実ではない=IMF

ワールド

中国はロシア防衛産業を支援、安全保障の脅威あおる=

ビジネス

ユーロ圏インフレ率は鈍化の公算、リスクは両面的=E
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中