最新記事

コンプライアンス

三菱自、不正の代償は総額650億円 燃費改ざん軽1台10万円補償へ

2016年6月18日(土)10時42分

6月17日、三菱自動車は燃費データを改ざんした軽自動車4車種の顧客に対し、おわびと燃費悪化に伴うガソリン代の差額分、車検時の税額増を勘案して1台当たり一律10万円を支払う方針を明らかにした。写真は都内で4月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)

 三菱自動車<7211.T>は17日、燃費データを改ざんした軽自動車4車種の顧客に対し、おわびと燃費悪化に伴うガソリン代の差額分、車検時の税額増を勘案して1台当たり一律10万円を支払う方針を明らかにした。エコカー減税での税率変更に伴う追加納税分は別途、負担する。

 軽以外で改ざんが判明した5車種の顧客には同3万円支払う。

 同社は顧客への補償費用として2017年3月期に特別損失約500億円を計上すると発表。16年3月期決算ですでに引き当てた約150億円と合わせ、総額は約650億円に上る見込み。

 補償の対象車両は不正公表後4月21日時点の登録情報に基づき、軽4車種は「eKワゴン」「eKスペース」と日産自動車<7201.T>向けの「デイズ」「デイズルークス」の計62万5000台。軽以外の5車種はスポーツ用多目的車(SUV)の「パジェロ」と「RVR」と「アウトランダー」の旧型車、中型セダン「ギャランフォルティス(スポーツバック含む)」、小型車「コルト(コルトプラス含む)」の計10万台。

 益子修会長は同日会見し、補償額10万円について「社内試験の結果をベースに若干の余裕をみて仮計算したもの」と説明。燃費の悪化幅や使用環境などにより個々の顧客で影響額は異なるが、「10万円ならば、ほとんどすべてのお客様の負担増をカバーできる」といい、「分かりやすさなどを総合的に考えて一律でのお支払いにした」と述べた。また、補償額は日産と「十分に意見交換した結果」で、不正内容やこの件での特損が日産との資本提携に「障害にはならないことを確認している」と話した。

 一方、軽4車種が実際の燃費値との差が大きいのに対し、軽以外の5車種は「届け出燃費値をクリアしていた」といい、海外向け車両は「定められた方法で測定しており、走行抵抗に改ざんがないことを確認済みだ」と語った。

 同社は記録の残っている過去10年間に販売・終了した全20車種で何らかの不正があったことや開発担当常務執行役員らが役員報酬を自主返納することも公表した。責任度合いに応じて3ー6カ月間、月額報酬の10―20%を減額する。益子会長はすでに7月から全額返上することを公表済み。軽4車種の生産には国土交通省による燃費値が必要で、中尾龍吾副社長は「6月中には公表していただけるのではと考えている」として早ければ7月にも再開したい意向を示した。

 (白木真紀 編集:吉瀬邦彦)

[ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

新興国市場への資金流入、7月は過去4年間で2番目の

ビジネス

中国銀行融資、7月は20年ぶり減少 社会融資総量+

ビジネス

アングル:日本株の「ニューノーマル」、PER20倍

ワールド

IEA、今年の石油供給予想を上方修正 OPECプラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が教える「長女症候群」からの抜け出し方
  • 3
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ「衝撃の物体」にSNS震撼、13歳の娘は答えを知っていた
  • 4
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 5
    【クイズ】アメリカで最も「盗まれた車種」が判明...…
  • 6
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 7
    【徹底解説】エプスタイン事件とは何なのか?...トラ…
  • 8
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 9
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 10
    トランプ「首都に州兵を投入する!」...ワシントンD.…
  • 1
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 2
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの母子に遭遇したハイカーが見せた「完璧な対応」映像にネット騒然
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 5
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医…
  • 6
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 7
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 8
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 9
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 10
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中