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自動運転車の実用化はシンガポールにお任せ

2016年4月25日(月)16時30分
パトリック・ウィン

 シンガポールでまず目指すのは、タクシーがなかなか来ない地区の通勤客を無人運転のシャトルバスで鉄道駅に運ぶ計画。最終目標は、ウーバーのようにスマートフォンで呼べるロボットタクシーの展開だ。

「強力な政治的支援を受けている。地理的な条件もいい」と、パーカーは話す。道路も平坦でよく整備されているので、例えばサンフランシスコの急坂に比べて問題が少ない。

 自動運転の実現に力を入れている国はシンガポールだけではない。アメリカに加えて日本やドイツも、実証実験や法改正を進めている。だが小さな国土と当局の熱意を考えれば、シンガポールが世界における自動運転実験の中心になる可能性がある。

 自動運転車の研究にどれぐらいの資金を投じているか、政府は明らかにしていない。パーカーによればヌートノミーの研究は、MITとシンガポール政府が共同運営する研究機関を通じて「数百万ドル規模」の支援金を受け取っている。

 政府当局者は、自動運転車による通勤客の輸送で世界トップに立つと豪語する。「他の国の実験は多くの部分が民間任せだが、ここでは政府がバックに付いている」と、シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)のリー・シャンロンは地元紙に語った。
強権的な政府と資金力、地理的条件に技術力まで加われば、鬼に金棒だ。

From GlobalPost.com特約

[2016年4月19日号掲載]

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