最新記事

脱北者

北朝鮮レストラン「美貌ウェイトレス」が暴く金正恩体制の脆さ(1)

2016年4月18日(月)17時04分
高英起(デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト) ※デイリーNKジャパンより転載

 そんな彼女たちに裏切られた金正恩第一書記は、相当焦りを感じているようだ。デイリーNKの内部情報筋によると、国家安全保衛部(保衛部=秘密警察)が、海外派遣に関係する党幹部に対する統制を強めているという。

 軍の幹部さえも無慈悲に粛清する「金正恩式恐怖政治」の手となり足となり暗躍している保衛部は、海外に派遣されている人員に対して、新たな監査グループを派遣。保衛部の統制強化に、北朝鮮の幹部たちは戦々恐々としているという。

 しかし、そもそも今回の「集団脱北事件」は、金正恩氏が、核とミサイルや体制維持に必要な外貨稼ぎを良家の女性たちに押しつけ、厳しい労働環境とノルマで苦しめたことが原因だ。言い方を変えれば、暴走を続ける金正恩氏にウェイトレスがささやかな復讐を果たしたといったところだろうか。では、彼女たちは、どのようにして海外に派遣されるのか。そして時には「望まぬ仕事」さえも強制されている実態について、次回は報告したい。

※北朝鮮レストラン「美貌ウェイトレス」が暴く金正恩体制の脆さ(2)

[筆者]
高英起(デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト)
北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ――中朝国境滞在記』(新潮社)、『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)、『北朝鮮ポップスの世界』(共著、花伝社)がある。

※当記事は「デイリーNKジャパン」からの転載記事です。
dailynklogo150.jpg

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、領土交換はウクライナに決めさせる 首脳

ビジネス

中国人民銀行、物価の適度な回復を重要検討事項に

ビジネス

台湾、25年GDP予測を上方修正 ハイテク輸出好調

ワールド

香港GDP、第2四半期は前年比+3.1% 通年予測
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化してしまった女性「衝撃の写真」にSNS爆笑「伝説級の事故」
  • 4
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 5
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 6
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 7
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 8
    【クイズ】アメリカで最も「盗まれた車種」が判明...…
  • 9
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 10
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた「復讐の技術」とは
  • 3
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 6
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 7
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 8
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 9
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 10
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失…
  • 6
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 9
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中