最新記事

中国政治

新華社が「中国最後の指導者習近平」と報道

2016年3月15日(火)11時30分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

中国政府メディアに「最後の指導者」と報道された<紅い皇帝>習近平 Wong Maye-E-REUTERS

 3月13日、中国時間の午後5時、中国政府の通信社「新華社」のウェブサイトに「中国最後の指導者、習近平」という報道が現れた。すぐに削除されたが、一部の中文メディアがPDFでダウンロード。中文世界に衝撃が走っている。

「中国最後領導人習近平」――スクープは博訊(Boxun)

中宣部、超級ハッカー? 新華社が"中国最後の指導者、習近平"と報道」という見出しで、最初に報道したのは博訊というウェブサイトだ。博訊のサーバーはアメリカのカロライナ州にある。

 新華社は中国政府の通信社で、中宣部(中国共産党中央委員会宣伝部)の直轄でもある。

 博訊は以下のように報道している。

――3月13日、劉奇葆・中宣部長は早目に仕事を引き上げるという某報道があり、中宣部システムは言論制御上、手がゆるむのではないかとされた。すると北京時間の13日午後5時頃、新華社のウェブサイトに突然「記者の手記」の形で、「昆泰酒店(ホテル) の内と外から中国経済の自信を探し求める」という記事を載せた。その記事の中には「中国最後の指導者、習近平は今日、両会で、中国の発展は一時的な波乱こそあるが、長期的にはやはり前途洋洋であると、発表した」とある。博訊の記者は、14日の未明にこの記事を見つけたが、新浪網などでは、まだ修正をしていなかった。

 これは書き違いである可能性は否定できないが、多くの官方(正式の)ウェブサイトでは今のところ修正していない。何かしらの内幕があるのか、この時点では分からない。

(筆者注:「両会」とは、現在北京で開催されている全国政治協商会議(3月3日~3月14日)と全人代(3月5日~16日)のこと)

 このように書いて、リンク先にあるページに、ダウンロードした新華網の報道内容が掲載してある。

 なお、博訊のページの最後には、「これは博訊が初めて見つけた第一報なので、転載するときには必ず情報源を明示すること」と書いてある。その通りだ。スクープする人は、日夜アンテナを張りながら特定の精神性を以て網にかかってくる情報を見つけている。その人の努力は尊重されなければならない。筆者は忠実に守っているが、他は「自分が独自に見つけたのだ」と言ってしまえばそれで済むので、スクープしたのが誰であるかはお構いなしに、中文ネット空間は、その後、一気に燃え上がっていった。

党宣伝部の無界新聞が「習近平は辞職せよ」という公開状――博聞社がスクープ

 実は全人代が始まる前日の3月4日、「無界新聞」が「習近平同志が党と国家指導の職務を辞職することを要求する」という公開状をウェブサイトに載せたことを「博聞社」がスクープした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

SBI新生銀行、東京証券取引所への再上場を申請

ワールド

ルビオ米国務長官、中国の王外相ときょう会談へ 対面

ビジネス

英生産者物価、従来想定より大幅上昇か 統計局が数字

ワールド

トランプ氏、カナダに35%関税 他の大半の国は「一
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 6
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 7
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 8
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 9
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 10
    ハメネイの側近がトランプ「暗殺」の脅迫?「別荘で…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中