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日本が迫られる「戦後」の克服

2015年8月10日(月)12時00分
横田 孝(本誌編集長)

 談話はどうあるべきか。中国に被害を与え、韓国人の心を傷つけたことをあらためて認めることは最低限必要だろう。史実と向き合うことは決して「自虐史観」ではない。個人でもそうだが、都合の悪い過去と向き合えない人間は、卑怯な臆病者だろう。皇太子殿下も今年2月、謙虚に過去を振り返ることの大切さを述べられている。

 国内の保守強硬派に迎合するだけの談話であれば、むしろ国益を損なう。閣議決定して政府の公式見解として発表できないような談話は、国際社会の疑念と誤解を招くだけだ。

 ただ、河野談話のように事実関係について議論が残るものは、節度を持って指摘する必要がある。声高に自らの歴史観を振りかざしても、世界から「歴史修正主義的」と切り捨てられるだけだ。例えば慰安婦問題については、強制連行の有無が確認できていないことを述べつつ、軍が関与する形で女性の人権を蹂躙したことへの反省の意を表する――。女性の人権を擁護する姿勢を打ち出すことで、未来志向のメッセージを発信するのだ。

 必要なのは村山談話の否定ではない。謝罪でもない。過去と誠実に向き合う姿勢を内外に示しつつ、あの戦争を総括し、左右の対立を乗り越えて「戦後」を克服することだ。「戦後」という過去に生き続けるか。それとも、過去を受け止めた上で日本の現在地を認識し、未来に目を向けるか――。この国は今、大きな岐路に立っている。



※当記事は2015年8月11/18日号
 特集「戦後」の克服
 からの抜粋記事です

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