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感染症

韓国MERS感染はなぜ1300名隔離まで拡大したか

2015年6月4日(木)12時09分

 複数の保健当局者も、病院の職員たちは男性に中東への渡航歴があることを知らなかったとしている。男性は別の病院でMERSと診断されたが、その病院でも当初はMERSの感染危険区域とはみなされていないバーレーンへの訪問しか伝えていなかったという。

 男性は実際には、最もMERS感染の症例が多く、約440人の死者の大半を出しているサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)での滞在経験があった。

 5月20日に自身も感染が確認された病院職員は、男性について疾病管理センターに連絡したものの、バーレーンへの渡航歴しか情報がなかったため「彼が(MERSに)陽性であることが分かるのにあまりに時間がかかり過ぎた」と語った。

 平沢市の病院では、男性と相部屋だった別の患者がMERSに感染。見舞いに訪れた同患者の息子は隔離対象であったにもかかわらず、香港と中国本土に渡航し、中国でMERSと診断されて現地で入院している。

 感染源となった男性は3日現在、政府指定の病院に入院し、人工呼吸器が付けられた状態。男性の妻(63)もMERSに感染しているが、容体は改善したという。

(Ju-min Park記者、翻訳:伊藤典子、編集:宮井伸明)


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