最新記事

航空

台湾の墜落事故で露呈したパイロット危機

トランスアジア航空の墜落事故を機に実施された試験でパイロット10人が不合格に

2015年3月30日(月)12時56分
スマン・バランダニ

広がる不信 台湾のトランスアジア航空が2月に起こした墜落事故の影響は尾を引きそうだ ChinaFotoPress/Getty Images

 墜落事故で操縦ミスの可能性も指摘されている台湾のトランスアジア航空。そのパイロットの多くが不適格──そんな驚愕の事実が明らかになった。

 今年2月初めに台北で同社のATR72型機が墜落した事故を受けて、台湾の民間航空局(CAA)は同社のパイロットを対象に緊急時の対応に関する口頭試験を実施した。

 墜落機と同型機種を操縦する49人が試験を受けたが、10人が不合格となり操縦資格を取り消された。さらに、19人が病気や国外滞在などを理由に試験を受けなかったという。

「受け入れ難い結果だ」と、同社のピーター・チェンCEOは言う。「当然ながら訓練を強化する」。台湾政府は国内のすべての航空会社に、安全手順の再検証を指示している。

 実際、今回の事故では重大な操縦ミスの可能性が指摘されている。ボイスレコーダーなどの解析によると、故障したのは右のエンジンだけだったが、再始動させるためになぜか左側のエンジンまで一度停止させていたからだ。

 パイロットは救難信号を発信し、異常の感知から35秒後にエンジンの停止を報告した。しかしCAAによると、「管制官が事故機に呼び掛けたものの、同時に事故機側からも呼び掛けており、応答に雑音が生じた。そのせいで救難信号を確認できなかったと考えられる」。

 ただ、それ以前の問題だったと思えてならないが。

[2015年2月24日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

三菱商、洋上風力発電計画から撤退 資材高騰などで建

ワールド

再送赤沢再生相、大統領令発出など求め28日から再訪

ワールド

首都ターミナル駅を政府管理、米運輸省発表 ワシント

ワールド

ウクライナ6州に大規模ドローン攻撃、エネルギー施設
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 3
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪悪感も中毒も断ち切る「2つの習慣」
  • 4
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 5
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 6
    「どんな知能してるんだ」「自分の家かよ...」屋内に…
  • 7
    「美しく、恐ろしい...」アメリカを襲った大型ハリケ…
  • 8
    【クイズ】1位はアメリカ...稼働中の「原子力発電所…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    イタリアの「オーバーツーリズム」が止まらない...草…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 6
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 7
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 8
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 9
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 10
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 10
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中