最新記事

テロ

熾烈、オーストラリア版テロとの戦い

ISISとの関連も疑われる人質立てこもり事件はオーストラリアへの報復テロか

2014年12月16日(火)17時03分
ジョシュア・キーティング

狙われる理由も オーストラリアにおけるISIS絡みのテロは今回が初めてではない David Gray-Reuters

 オーストラリア・シドニーの中心部のカフェで12月15日、武装した男が17人の人質を取って立てこもった事件。16時間後に警察が突入して事態は収束したが、人質17名のうち2名が死亡、警官を含む4名が負傷する惨事となった。

 事件の容疑者である男性は射殺され、動機や身元はまだ明らかになっていない。しかし、人質を使って建物の窓にイスラム教スンニ派テロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)の旗らしき布を掲げさせるといった行動に出たことから、ISISの関与が疑われた。

 アメリカの同盟国の中でも、オーストラリアはとりわけシリアやイラクでのISIS掃討作戦に積極的に関わっていることを考えれば、ISISの標的となっても不思議ではない。8月には、シリアに渡りISISに加わったオーストラリア人男性が、7歳の息子に切断された敵兵の頭部を持たせて撮影した写真をネット上に流し、世界を騒然とさせた(この父親は精神疾患を抱えていたとみられる)。

「Uターン」組のテロ攻撃か

 今回の事件以前にも、オーストラリアではISISがらみの事件が発覚している。9月には、ISISの活動に参加するためオーストラリアからシリアへ渡った元俳優のモハマド・アリ・バリヤレイが、「威嚇行為」として誰かの首を切断する映像を撮ってほしいと地元の友人に電話で依頼。通話は傍受され、頼まれた友人は逮捕された。

 その数日後にはメルボルン郊外で、イスラム過激派メンバーの疑いがあるとして警察の監視対象になっていた18歳の男性が警官2人を刃物で刺し、射殺された。さらに10月には、シドニーとブリスベンで一斉にテロ容疑者の家宅捜索が行われ、15名が無差別攻撃を企てようとしていた容疑で拘束された。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が

ビジネス

NY外為市場=ドル対ユーロで軟調、円は参院選が重し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 7
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 8
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中