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医療外交

キューバがエボラ熱支援に積極的な訳

インド洋大津波やハイチ大地震でも活躍したキューバ医師団約300人が西アフリカへ

2014年10月30日(木)17時09分
デニス・リンチ

サミット 西アフリカ支援策を話し合うため集まった中南米首脳(中央がラウル・カストロ議長) Enrique De La Osa-Reuters

 先進国がエボラ出血熱で右往左往するなか、積極的に貢献している国の1つがキューバだ。10月初めシエラレオネに165人の医療関係者を派遣し、先週は300人近くをリベリアとギニアに送ると発表。国交が断絶しているアメリカを含め「すべての国と進んで協力したい」と、フィデル・カストロ前国家評議会議長も共産党機関紙への寄稿で述べた。

 医療費無料の保険制度が整ったキューバは、医療水準の高さで有名だ。冷戦中は共産主義諸国に軍事・医療面で協力したが、今は途上国を中心に医療外交を展開。過去50年間で18万人以上の医療関係者を国外派遣した。04年のインド洋大津波、10年のハイチ大地震なども支援した。

 現在、国外で働くキューバ人医師は約5万人で、その動機は「国内で医師が余っていて」「お金になり」「国際的評判が得られる」ためだとマイアミ・ヘラルド紙の元記者フアン・タマヨは言う。正確な数字はないが、エボラ被害国への派遣でキューバは医療関係者1人につき最大で1カ月8000ドルを受け取る可能性があるという。彼らが人口1100万人の小国にもたらす外貨は今年の推定で82億ドルだ。

[2014年11月 4日号掲載]

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