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ロシア

プーチンが加速させる「アジア重視戦略」

2014年5月12日(月)12時14分
ザカリー・ケック

本音は中国の牽制?

 ロシアがアジア重視政策を加速しているのは欧米の制裁に対抗するためだが、長い目で見ればアメリカとの関係改善につながりそうだ。両国の利害はヨーロッパでは対立しがちなのに対し、アジア太平洋ではほぼ完璧に一致する。インドやベトナムを支援して中国の脅威に対抗したいのは、ロシアもアメリカも同じだろう。

 ただ同時にロシアは中国との関係も強化している。プーチンはロシアの最新鋭防空ミサイルシステムを中国に輸出することを原則として承認。実現すれば、台湾周辺などでの有事における中国の優位性は大幅に高まる。

 過去約10年にわたって続いてきた中国との大規模な天然ガス交渉もようやく妥結しそうだ。価格交渉が難航してきたが、5月のプーチンの訪中をにらんでロシア側が譲歩すると思われる。パイプラインを新設する必要があるものの、ロシアとしてはエネルギー輸出のヨーロッパ市場依存を緩和できるというメリットがある。

 21世紀版「三角外交」の主役はロシアなのかもしれない。

From thediplomat.com

[2014年4月29日号掲載]

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