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中央アジア

外交舞台に躍り出るモンゴルの内幕

2014年4月2日(水)13時22分
深田政彦(本誌記者)

 北朝鮮とはひそかに経済関係も強化してきた。急増した中国人労働者に代わって、現在では北朝鮮から多くの労働者を受け入れ、北朝鮮の港湾都市・羅先の開発にも乗り出そうとしている。内陸国であるモンゴルに港はないが、シベリア横断鉄道などを経由して羅先を自国の豊富な資源の輸出港とすることができるからだ。

 長らく清朝に服属したモンゴルは20世紀に入ると、北はソ連の衛星国となり、南は内モンゴル自治区として中国に併合された。中ソ両大国に挟まれた国際環境で生き抜くため、モンゴルは独自の外交力を磨き、冷戦崩壊後は民主主義移行国の成功例として中央アジアで頭角を現した。

 チンギス・ハンの祖国という歴史の栄光はモンゴルを大国外交に駆り立てている。国連PKO(平和維持活動)はもとより、イラク戦争やアフガニスタン作戦にも積極的に参加。今では北朝鮮をめぐる「7者」協議参加やEU加盟も模索するほどだ。

 その志は壮大だが、人口は280万ほど。経済力や軍事力は周辺諸国と比べものにならないほど小さい。外交の調整役にはなれても北朝鮮を動かす力までは望めないと、楊は言う。

[2014年4月 1日号掲載]

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