最新記事

ベネズエラ

強硬手段で緊張高まるベネズエラ

「テロ」容疑で野党党首を逮捕したマドゥロ大統領。双方の支持者の反目で国は真っ二つに

2014年2月19日(水)15時18分
スマン・バランダニ

やりたい放題 国営放送で米外交官の国外退去を命じたマドゥロ(16日) Reuters

 ベネズエラの故ウゴ・チャベス大統領の後継者で反米左派政権を率いるニコラス・マドゥロ大統領は16日、アメリカの外交官3人に対し、国外退去命令を出した。先日からの反政府デモに参加している学生たちと会合を開いていたのが理由だという。マドゥロはまた、米政府がベネズエラの反政府勢力と共謀していると非難した。

 経済の低迷と格差拡大に怒りの声を上げたデモでは、少なくとも3人が死亡した。デモ隊はマドゥロの辞任を求めているが、野党の指導者たちは、大統領は退陣しないだろうとみている。

 マドゥロは3人の外交官の名前は明かさなかったが、こう語った。「米大使館の査証課で働く職員であり、2カ月にわたり私立大学で会合を開いていた」

 これに先立つ15日には、アメリカのジョン・ケリー国務長官が、ベネズエラ政府がデモの参加者を拘束・逮捕したことについて懸念を示す声明を発表していた。

 ベネズエラ当局が殺人やテロの容疑で逮捕状を出したのは、野党「民衆の意志」のレオプルド・ロペス党首だ。ロペスはこれに反抗し、18日に首都カラカスで再び大規模なデモを行うことを呼びかけた。

 ロペスはツイッターに投稿した動画でこう語った。「私はその場に現れる。恐れるものなどないからだ。私は何の罪も犯していない。不当な理由で私に逮捕状が出ているとしても、私はその場に現れる」

 約束どおり18日のデモに姿を見せたロペスは、その場で当局に拘束された。ロペスの支持者、マドゥロの支持者ともにデモを行っていく構えだ。

From GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中が閣僚級電話会談、貿易戦争緩和への取り組み協議

ワールド

米、台湾・南シナ海での衝突回避に同盟国に負担増要請

ビジネス

モルガンSも米利下げ予想、12月に0.25% 据え

ワールド

トランプ氏に「FIFA平和賞」、W杯抽選会で発表
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 2
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い国」はどこ?
  • 3
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開きコーデ」にネット騒然
  • 4
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 7
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 8
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 9
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 10
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 1
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 2
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 5
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 6
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 9
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中