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NYを核攻撃、北朝鮮悪意のプロパガンダ映像

ミサイル攻撃でニューヨークが火の海に? 北朝鮮が公開したツッコミどころ満載のトンデモ妄想映像

2013年2月6日(水)16時41分
カトリーン・ダーモディ

悪質 北朝鮮は過去にも長距離弾道ミサイル実験の標的はアメリカだと言ってきたが KCNA-Reuters

 何かを的確に表現したいなら、簡潔な言い回しがベストだ。そして今日、最も物事の核心に触れる言い回しをしていたのは、テクノロジー専門ブログ「テッククランチ」の、以下のような言葉だった。

「『ウイ・アー・ザ・ワールド』のピアノ演奏に乗せて、ニューヨークでミサイルが爆発するような妄想めいた悪夢的映像が見たければ、これを見ればいい」

 北朝鮮の祖国平和統一委員会のウェブサイト「我が民族同士」がYouTubeにアップしたこの映像には、次のような字幕が流れる。「アメリカのどこかから巨大な黒い煙が上がる」「悪の巣窟が、自らの放った火で燃え上がっているようだ」。実にダークではないか。

 とはいえ最悪なのは、このシーンや字幕ではない。それは北朝鮮の人々がアメリカの崩壊を望んでいるという事実かもしれないし、ゲームから盗用された映像が使われていることかもしれない。ニューヨークが核兵器によって破壊されるシーンの映像は、人気のシューティングゲーム「コール・オブ・デューティー」シリーズの「モダン・ウォーフェア3」で使用されているものだ。

 もしかすると最もひどいのは、映像のプロパガンダ的な内容と、BGMに選ばれた「ウイ・アー・ザ・ワールド」という歌に込められたメッセージがかけ離れているという皮肉かもしれない。

 いずれにしろ、この美しくも見た人を不安にさせる映像は、なかなか衝撃的なものだった。

「ウイ・アー・ザ・ワールド」を愛するすべての人たちがどう感じたかは分からない。だが、この歌の本家のミュージックビデオほど、ささくれ立った心を和らげ、世界はそんなに不快な場所ではないと感じさせてくれるものはない。

 ライオネル・リッチーとスティービー・ワンダー、ブルース・スプリングスティーン、マイケル・マクドナルドたちの優しいハーモニーは、あなたの心の傷をいやしてくれるだろう。とくに、もしあなたが「悪の巣窟」に住んでいるのなら。

From GlobalPost.com特約

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