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伊良部は「がまがえる」の蔑称で呼ばれた

日本人らしからぬ自己主張の強さと豪腕で大リーグを揺さぶった伊良部秀輝の悲しすぎる最期

2011年7月29日(金)16時44分

栄光の時代 97年にヤンキースに移籍した当時の伊良部には、大きな期待がかけられていた Ray Stubblebine-Reuters

 アメリカ大リーグのニューヨーク・ヤンキースの元投手、伊良部秀輝が27日にロサンゼルス近郊の自宅で死亡した。42歳だった。ニューヨーク・デーリー・ニューズ紙は、首を吊って自殺したらしいと報じている。

 日本のプロ野球でもスター選手だった伊良部は、97年に大きな期待を背負って大リーグ入りした。当時は「日本のノーラン・ライアン(速球で知られたメジャーリーグの元投手)」というニックネームまで付けられた。

 ニューヨーク・デーリー・ニューズによれば、伊良部がロッテ在籍時代に監督を務めたボビー・バレンタインは、伊良部の大リーグ入りについてこう語っていた。「(伊良部が)契約したのは嬉しいけど、若いあいつには良い事とは思えない。良い環境じゃない。そんな印象を持っている」

 96年に大リーグへの移籍希望を表明した後、サンディエゴ・パドレスが独占交渉権を獲得したが、伊良部はパドレス入りを拒否。最終的には念願のヤンキース入団を果たした。

 98年と99年には、ヤンキースでワールドシリーズ優勝を果たした。しかし伊良部のピッチングは、チームの期待とは遠くかけ離れたものだった。当時のオーナーだったジョージ・スタインブレナー(故人)が伊良部を「デブのがまがえる」と呼んだのは有名な話だ。

 99年のシーズン後にモントリオール・エクスポズへ移籍し、その後テキサス・レンジャーズでもプレーしたが、2002年に大リーグから退いた。大リーグでの通算成績は34勝35敗、防御率は5・15だった。

 野球ファンサイトのベースボール・ネーションによれば、伊良部はメジャー引退後に何回かトラブルを引き起こしている。昨年には、カリフォルニア州で飲酒運転の疑いで逮捕。08年にも、大阪市内の飲食店でビールを20杯近く飲み、店長に暴行した容疑で逮捕された。

GlobalPost.com特約

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