最新記事
アフリカ

ウラン大国ニジェールが自前の原発計画

福島ショックで世界が脱原発に傾くなか、国内初の原発建設で経済成長を目指すニジェール

2011年6月8日(水)17時12分
トリスタン・マコネル

原発増殖 富といえばウランだけの貧しい国々が原発をつくり出したら

 西アフリカのニジェールは世界有数のウラン産出国。これまでは他国の原子力発電所へ向けてウランを輸出してきたが、今度は自国に原発を建設して経済成長の糧にしたがっている。

「われわれにやるべきことがあるとすれば、自分たちの原子炉を持つことだ」と、政府報道官のマロウ・アマドウは言う。

 ニジェールは軍政から民政に移行したばかりで政情は安定しておらず、経済的には世界で最も貧しい国の1つだ。国内の2つの鉱山から採掘されるウランが世界のウラン生産量の7・5%を占めているが、この恵まれた資源を経済成長につなげられずにいる。資源が豊かであるがゆえに、国内外のさまざまな利権が絡んで政情不安を呼んでいるとも言えるだろう。

 日本の福島第一原発の事故によって、世界では原子力の安全性を見直す動きが高まっている。ドイツは今週、2022年までに国内の原発を全廃する法案を閣議決定した。

 それでもニジェールは、自国をはじめ西アフリカ諸国が発展し、貧困から脱け出していくのに必要なエネルギー源は原子力だと考えている。

「強調しておきたいのは、わが国の電力需要は低いため、原発建設については他のアフリカの国々と共同の枠組みの中で行う」と、政府報道官のアマドウは述べている。

 しかし政情が不安定な国の原子力開発計画に、世界の懸念は高まっている。

GlobalPost.com特約

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

メラニア夫人、プーチン氏に書簡 子ども連れ去りに言

ワールド

米ロ首脳、ウクライナ安全保証を協議と伊首相 NAT

ワールド

ウクライナ支援とロシアへの圧力継続、欧州首脳が共同

ワールド

ウクライナ大統領18日訪米へ、うまくいけばプーチン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 5
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 6
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 7
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 8
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 9
    【クイズ】次のうち、「軍事力ランキング」で世界ト…
  • 10
    「デカすぎる」「手のひらの半分以上...」新居で妊婦…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 6
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 7
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 8
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 9
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 10
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中