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中国式スパルタ育児は経済をダメにする

2011年3月4日(金)14時53分
メリンダ・リウ(北京支局長)

アメリカだから成功した

 一方、アメリカの学校や社会全般には、個人の自由な表現や創意工夫をよしとする空気があるというのも見落とされがちなポイントだ。チュアが娘たちに課した機械的な反復練習がうまくいったとすれば、それは娘たちが家の外では自分で物事を考え、決めることを奨励されていたからではないか。高等教育の硬直化が問題となっている中国で独裁的な子育てをすれば、子供の創造性は伸ばせない。

 中国の若い世代には、この国にビル・ゲイツのような人材がいないことを問題視する人も多い。大学関係者は、中国で暮らす研究者でノーベル賞受賞者がいない(昨年の平和賞は別にして)ことを恥じている。より良い研究環境を求める研究者の国外流出も続いている。中国の母たちは、十分な資力やコネさえあれば子供をハーバード大学に行かせたいはずだ。

 言い換えれば教育で大切なのは東西の融合。少なくとも本場の母トラはそう考えている。

[2011年2月 9日号掲載]

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中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

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