最新記事

トレンド

美容整形で理想の性器を手に入れる?

Designer vaginas, anyone?

ポルノに影響されて「美しい形」にするために、手術を受ける女性が急増中

2011年1月14日(金)14時06分
イバ・スコッチ

 美容整形外科医が赤面させられるのはよほどのこと。だが数年前、チェコの首都プラハの医師ブラスティミル・ビシェクはそれを経験した。彼のクリニックを訪れたウクライナ人の売春婦がポルノ雑誌のヌードモデルの女性器を指して「私のも、こんなふうにして」と言ったのだ。

 まったく同じにはできなかった。性器は「十人十色」であり、顔の手術と同じく完全に他人を模倣はできないと、ビシェクは言う。それでもベストは尽くし、売春婦は満足して帰って行った。

 ビシェクにとって、彼女は純粋に美容目的で性器の整形を望んだ客の記念すべき第1号だった。以後、特に宣伝もしていないにもかかわらず彼のクリニックでは年間数十件、同様の女性器手術を行うようになった。

 一部の医師によれば、ここ約10年で性器の美容整形は「ちょっとしたブーム」になっている。今ではチェコ国内の美容整形クリニックの過半数を占める70カ所がこの手の処置を手掛ける。

 費用は入院費込みで平均900ドルほど。よく行われるのは大陰唇と小陰唇の整形だ。10年前まで、こうした処置を受けるのは深刻な先天異常か損傷のある患者がほとんどだった。今のチェコでは、顔や胸などと同じ感覚で考えられている。

 整形手術情報サイトによれば、昨年チェコで行われた美容整形手術のうち女性器関連は3%を占める。大多数の患者は「自信を持つ」のが目的だったという。

 27歳のミリアム(仮名)もそんな女性の1人。小陰唇が左右非対称で「一方が5ミリほど長い」ことを元恋人にからかわれ、気になりだして昨年手術に踏み切った。その結果、「元カレの好きなポルノ女優とそっくりな形になった」。

 この流行はチェコにとどまらない。相場5000ドル以上のアメリカでも、性器整形の需要は高まっている。入手できる最新の統計によれば、06年には全米で前年より30%増となる1030件の手術が行われた。

「リスクを伴う」と批判も

 もっともチェコ以外の国では、性器の美容整形を強く批判する医師も多い。アメリカの産婦人科医団体のサイトは、「リスクを伴うし、利点は科学的に実証されていない」と警告している。

 オークランド大学講師(心理学)のバージニア・ブラウンも非難の声を上げる。「自信を持てるとか性的快感が増すと言われているが、背景には性器の多様性を無視した女性蔑視的な見方がある。女性の無知とコンプレックスに付け込んだ商法だ」

 それでも、専門家の意見よりポルノの影響力のほうが大きいようだ。チェコでは近頃、ポルノ女優をまねて陰部を完全脱毛する女性が増えている。性器の美容整形を専門とする外科医スバトプルク・スボボダの話では数年前から、患者のほとんどが陰毛を処理しているという。脱毛して陰部があらわになると、ジムのシャワーなどで他人と比べるようになり、整形を望む女性が増えるとの指摘もある。

 スボボダが美容整形外科医になったのは72年だが、98年にブラジルに研修に行くまで性器の美容整形があることも知らなかった。帰国後に早速取り入れたが、周囲の視線は冷たかった。

「当初は年間1、2件だったが、この6年で急速に需要が伸びた」。毎年倍増を続け、昨年は100件を上回った。

 スボボダは、アフリカなどで行われている女性器切除とはまったく違う処置だと説明し、反対派を説得した。患者の大半は、美的な理由だけでなく、大陰唇が長過ぎるなどの深刻な不快感があって手術を受けるという。

 批判が収まると、スボボダは新たな難問に直面した。「理想的な女性器の形とは?」というものだ。そこで、長年裸婦を描いてきた友人の老画家に美しい女性器を描いてもらった。

 理想の形といっても、多様な美がある。老画家は100枚近いサンプルを描いてくれた。スボボダはそれをカタログにして、患者に好きな形を選んでもらっている。一番人気は、柔らかみのあるシンプルな性器だとか。

GloabalPost.com 特約)

[2010年11月24日号掲載]

ニュース速報

ビジネス

英中銀、時間をかけず段階的に利上げすべき=ソーンダ

ビジネス

日産、22年度までに国内でEV3車種・eパワー搭載

ビジネス

5月の英利上げ確率が40%に低下、英中銀総裁発言で

ビジネス

放送改革で政府会合、座長「4条撤廃に焦点絞った議論

MAGAZINE

特集:技能実習生残酷物語

2018-4・24号(4/17発売)

アジアの若者に技術を伝え、労働力不足を解消する制度がなぜ「ブラック現場」を生むようになったのか

人気ランキング

  • 1

    「僕はゲイリー19歳、妻は72歳」 青年が恋に落ちた53歳上の女性とは

  • 2

    「ヒトラーが南米逃亡に使った」はずのナチス高性能潜水艦が見つかる 

  • 3

    こんなエコノミーは嫌だ! 合理的すぎる座席で、機内はまるで満員電車?

  • 4

    ジェット旅客機の死亡事故ゼロ:空の旅を安全にした…

  • 5

    アマゾン・エコーが、英会話の練習相手になってくれた

  • 6

    金正恩は「裏切り」にあったか......脱北者をめぐる…

  • 7

    「家賃は体で」、住宅難の英国で増える「スケベ大家」

  • 8

    米中貿易戦争は中国に不利。習近平もそれを知ってい…

  • 9

    ナゾの天体「オウムアムア」の正体 これまでに分か…

  • 10

    怖くて痛い虫歯治療に代わる、新たな治療法が開発さ…

  • 1

    「僕はゲイリー19歳、妻は72歳」 青年が恋に落ちた53歳上の女性とは

  • 2

    こんなエコノミーは嫌だ! 合理的すぎる座席で、機内はまるで満員電車?

  • 3

    アメリカの2度目のシリア攻撃は大規模になる

  • 4

    「家賃は体で」、住宅難の英国で増える「スケベ大家」

  • 5

    フェイスブックはなぜ全米を激怒させたのか

  • 6

    おどろおどろしい溶岩の世界!?木星の北極の正体が…

  • 7

    「ヒトラーが南米逃亡に使った」はずのナチス高性能…

  • 8

    韓国で隣家のコーギー犬を飼い主に食べさせようとし…

  • 9

    地球外生命が存在しにくい理由が明らかに――やはり、…

  • 10

    日本の空港スタッフのショッキングな動画が拡散

  • 1

    日本の空港スタッフのショッキングな動画が拡散

  • 2

    ユーチューブ銃撃事件の犯人の奇妙な素顔 「ビーガン、ボディビルダー、動物の権利活動家」 

  • 3

    「金正恩を倒せ!」落書き事件続発に北朝鮮が大慌て

  • 4

    「家賃は体で」、住宅難の英国で増える「スケベ大家」

  • 5

    金正恩が習近平の前で大人しくなった...「必死のメモ…

  • 6

    「僕はゲイリー19歳、妻は72歳」 青年が恋に落ちた5…

  • 7

    ヒトの器官で最大の器官が新たに発見される

  • 8

    「パスタは食べても太らない」──カナダ研究

  • 9

    2度見するしかない ハマってしまった動物たちの異様…

  • 10

    金正恩がトランプに懇願か「あの話だけはしないで欲…

グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ 日本再発見 シーズン2
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版

SPECIAL ISSUE 丸ごと1冊 プーチン

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2018年4月
  • 2018年3月
  • 2018年2月
  • 2018年1月
  • 2017年12月
  • 2017年11月