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習近平時代は中韓の冬の時代?

「北朝鮮の同志」という建前の裏で韓国との経済交流を着実に増やしてきた中国だが、次期トップは路線を一変させる可能性も

2010年11月8日(月)15時52分
長岡義博(本誌記者)

 朝鮮戦争を共に戦った中国と北朝鮮は「血の友情」で結ばれた関係にある──というのはあくまで建前。92年に韓国との国交を正常化してから、中国は破綻した北朝鮮を尻目に韓国との経済交流を増やしてきた。

 しかし、蜜月関係にもそろそろ冬の時代が訪れるかもしれない。次期トップ就任が確実な中国の習近平(シー・チンピン)国家副主席が先週、北京で開かれた記念行事で「(朝鮮戦争は)平和を守り侵略を防ぐための正義の戦争だった」と、韓国を侵略者呼ばわりしたのだ。

 この話には伏線がある。昨年、元大統領の金大中(キム・デジュン)と北京で会談したとき、習は「李明博(イ・ミョンバク)政権は朝鮮半島の平和の妨害者だ」と述べていたと、金に同行した民主党の幹部が今年10月中旬に暴露した(中国外務省は強く否定)。

 習といえば、昨年外遊先のメキシコで「中国をあげつらうな」と一部の外国を批判して世界を震え上がらせた人物。その矛先を向けられた韓国は、外交通商省が野党の民主党の代わりに中国側に遺憾の意を表明する、といううろたえぶりだ。

 朝鮮日報は、大国の威光を利用した足の引っ張り合いが植民地支配を招いた朝鮮王朝末期の歴史と重ね合わせて嘆いている。

[2010年11月10日号掲載]

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