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核施設

イラン原発を襲ったサイバーテロ

攻撃に使用されたコンピューターウイルス「スタックスネット」はどこかの政府が作ったものに違いないが

2010年10月6日(水)15時38分
ババク・デガンピシェ(ベイルート支局長)

 ここ数カ月、イスラエルがイランの核施設に軍事攻撃を仕掛ける可能性がささやかれてきた。そして今、攻撃は意外な形で現実となった。イラン南部ブシェールにある原子力発電所のシステムにコンピューターウイルス「スタックスネット」が仕掛けられたのだ。

 ソフトウエア会社シマンテックは、イランで6万台以上のコンピューターが感染したと推計。専門家はウイルスを開発したのはどこかの国の政府だと結論付けている。

 サレヒ原子力庁長官は先週、ブシェール原発の操業は2カ月遅れる見通しと発表した。専門家によれば「ウイルス開発費用は恐らく500万〜1000万ドル。核施設周辺を空爆するより安くつく」。

 スタックスネットはアメリカとイスラエルの仕業だと非難するイラン当局者たちは、今回の攻撃はイランを標的にしたサイバー戦争だと考えている。イラン当局は09年の大統領選期間中、政府のサイトをハッキングされた苦い経験を持つ。それ以来「サイバーアーミー」を設立して対抗。現在は、民兵組織バシジの120人が「ブログの書き方やスパイウエア対策」などの訓練を受けている。

 スタックスネットを開発したのが誰であろうと、イランが反撃を開始しようとしているのは確かだ。

[2010年10月13日号掲載]

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