最新記事

モロッコ

アフリカに出現した太陽エネルギー大国

2010年10月5日(火)15時02分
R・M・シュナイダーマン

 大規模な油田を持たない北アフリカ唯一の国であるモロッコはこの何十年もの間、血眼になって砂漠を探し続けてきた。そのモロッコが昨年、ついに豊かな資源を見つけた。太陽だ。

 中東の原油とロシアの天然ガスに長く頼ってきたヨーロッパは最近、サハラ砂漠に注目している。2050年までにヨーロッパのエネルギーの15%が北アフリカと中東の風力、太陽熱発電で賄われ、モロッコが北アフリカ最大の太陽熱エネルギー供給元になり得る、と専門家は考えている。

 きっかけは08年の世界的な原油高騰。エネルギーの多くを輸入に頼るモロッコでは調達コストが2倍近くに跳ね上がり、国王モハメド6世は代替エネルギー開発を最重要政策にすると決定した。投資推進の法的枠組みも導入された。

 モロッコはヨーロッパにも近い。スペインとの距離は14キロで、エネルギーパイプラインでつながっている。現在はスペインからの一方通行だが往復でも使える。2020年までにもモロッコは数十億ドルを投資し、その技術で国内の電力生産を増やす計画だ。

 今のところ太陽熱には化石燃料ほどの競争力はないが、モロッコがクリーンエネルギー市場で主役になる日はそう遠くないかも。

[2010年10月 6日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

小林氏が総裁選へ正式出馬表明、時限的定率減税や太陽

ワールド

アルゼンチン予算案、財政均衡に重点 選挙控え社会保

ワールド

タイ新首相、通貨高問題で緊急対応必要と表明

ワールド

米政権、コロンビアやベネズエラを麻薬対策失敗国に指
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中