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日米関係

「対等な関係」という現実主義

安全保障重視を脱却した鳩山政権の対米政策は「普通の国」への第1歩だ

2009年10月21日(水)16時16分
トバイアス・ハリス(日本政治・東アジア研究者)

 93年、小沢一郎は自由民主党を離党し、非自民の連立政権の誕生を導いた。その行動の背景にあったのは、日本は「普通の国」になるべきだという信念だ。

 アメリカは当時、小沢の力で日本はより能動的な同盟国に変身すると期待し、これからの日本は経済力に見合うだけの責任を国際社会で担うはずだと考えた。

 小沢は94年(日本では93年)に発表した著書『日本改造計画』で、野心的な政治改革構想をぶち上げている。日本は官僚主導から内閣主導へ転換し、国際問題でより積極的な役割を果たすべきだ──。

 そして09年、小沢は与党・民主党の幹事長に就任した。9月16日に発足した新政権を率いる鳩山由紀夫首相の代理として、党運営や国会対策を担うポストだ。

 首相就任に際し、鳩山は政府の機能を刷新すると宣言した。日本の指導者が政治を行うに当たってこれまで以上の自由を手にするべきだという鳩山の考えは、93年当時に小沢が唱えた「普通の国」構想の核を成すものだ。

 当時、小沢の主張は安全保障分野に限ったものだと受け止められがちだった。だが政治家が国内において官僚依存をやめ、外交においてアメリカ依存を脱してこそ、日本は「普通」になる。

 今や鳩山政権は構想を現実に変えることができる。アメリカには、その点を懸念する声もある。

 ワシントン・ポスト紙のコラムニスト、ジム・ホーグランドはこう述べた。「バラク・オバマ米大統領は、日本の官僚制度や自民党政権時代の大物政治家に悪魔のレッテルを貼る(総選挙の)勝者をなだめなければならない......去り行く大物たちはアメリカの忠実な友である一方、故国に尽くした」

軍事同盟の枠を超えてこそ

 鳩山政権はアメリカとの「対等な関係」、つまり日本がアメリカの要求ではなく国益に基づいて政策を決定することが可能な関係を望んでいる。言い換えれば、時と場合に応じてアメリカに「ノー」と言うことができる関係だ。

 同時に、対等な関係とは軍事同盟の枠を超えた関係のことでもある。その証拠に、民主党はマニフェスト(政権公約)でアメリカとの自由貿易協定(FTA)の交渉促進を提案した。この提案は日米が同盟関係の「再確認」と「一新」に同意した90年代半ば以降、両国がどのような関係を結んできたかを浮き彫りにしている。

 90年代前半の貿易戦争の後遺症から、日米は経済分野の問題を棚上げし、2国間協議のテーマを安全保障や在日米軍基地、日本の国際貢献に絞ってきた。

 もちろん、こうした協議は「対等」ではなかった。アメリカが変更を提案するたび、アメリカに安全保障を頼る日本は政治システムが許す限り要望に応えてきた。

 民主党の政治家、とりわけ岡田克也外相はこの不平等の解消を目指し、安全保障以外の問題を協議テーマとして復活させようとしている。その象徴的な例が温暖化対策での協力だ。インド洋での海上自衛隊の給油活動を延長しないという決断も、安全保障重視からの転換の必然的な結果にすぎない。

 だが、日米関係を大きく変える要因はほかにある。アジア諸国との協調と同地域でのリーダーシップを重視する民主党の姿勢だ。とはいえアメリカは、日本がアジアを選んだと誤解してはならない。

 岡田が9月2日、あるシンポジウムで語ったように「アメリカか中国かという議論があるが、それは小さな議論」だ。日本は安全保障の最も重要なパートナーと経済面で最も重要なパートナーのどちらかを選ぶことも、どちらかに過剰に依存することもできない。

 対米関係と対中関係の両立は、今後数十年にわたって日本の指導者に課される重大な任務になるだろう。だからこそ日本は今、「普通の国」の政治的リーダーシップを必要としている。

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