最新記事

マタニティ

「母親の自覚が足りないッ!」...海外通販サイトで見つけたマタニティドレスに思わず私もツッコミを入れた

2023年07月04日(火)11時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

自分が自分でなくなる妊婦

外部からの視線と、自分の心の実情が乖離していることへの戸惑い、赤ちゃんが来たという変な高揚と、これから先への不安とでジェットコースターのように揺らぐ気持ち。

まだ産まれるまで半年以上あるのに----そう、これは序の口で、まだ妊婦であることに慣れず、「母である」ことになんてなおさらなのに----自分が自分でなくなってしまったような錯覚。

そんなこんなすべて、常に脳の裏側にべったりと張り付いてちかちかと騒がしく、その濁流のような感情の矛先は結果として常に夫に向かうのだった。

この時期の私のかすかな慰めは、海外の通販サイトでマタニティドレスを眺めることであった。日本のメーカーが作る妊婦服は、どうもかザ・妊婦というか、「ほっこり」と「フェミニン」を押し出したデザインのものが多く、全然しっくりこなかった。

もっとこう、全身鋲だらけとか、全身シースルーとかないの、そう思いながら海外のサイトを見ると、へそのほうまで胸元が開いたワンピースとか、冷えという言葉は私の辞書にはないと言わんばかりの超ミニとか、いったいマタニティをなんだと思っているのかと聞きたくなるデザインの服がわんさと溢れており、大変に元気がよく、心が持ち上がった。


小野美由紀(おの・みゆき)
作家 1985年東京生まれ。ウェブメディア・紙媒体の両方で精力的に執筆を続けながら、SFプロトタイパーとしてWIREDの主催する「Sci-Fiプロトタイピング研究所」の事業にも参加している。オンラインサロン「書く私を育てるクリエイティブ・ライティングスクール」を主催。著書に『路地裏のウォンビン』(U-NEXT)、noteの全文公開が20万PVを獲得した恋愛SF小説『ピュア』(早川書房)、銭湯を舞台にした青春小説『メゾン刻の湯』(ポプラ社)、韓国でも出版された『人生に疲れたらスペイン巡礼』(光文社)、『傷口から人生。メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった』(幻冬舎文庫)、絵本『ひかりのりゅう』(絵本塾出版)など。



  『わっしょい!妊婦
  小野美由紀[著]
  CCCメディアハウス[刊]


(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ECB、金利の選択肢をオープンに=仏中銀総裁

ワールド

ロシア、東部2都市でウクライナ軍包囲と主張 降伏呼

ビジネス

「ウゴービ」のノボノルディスク、通期予想を再び下方

ビジネス

英サービスPMI、10月改定値は52.3 インフレ
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    ハリウッド大注目の映画監督「HIKARI」とは? 「アイ…

  • 3

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 4

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 5

    「見せたら駄目」──なぜ女性の「バストトップ」を社…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    【独占】「難しいけれど、スローダウンする」...カナ…

  • 3

    ハリウッド大注目の映画監督「HIKARI」とは? 「アイ…

  • 4

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 5

    「見せたら駄目」──なぜ女性の「バストトップ」を社…

  • 1

    「エプスタインに襲われた過去」と向き合って声を上…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    「恐ろしい」...キャサリン妃のウェディングドレスに…

  • 4

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 5

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:高市早苗研究

特集:高市早苗研究

2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える