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女性問題

生理休暇、意外にも日本女性は恵まれてる? なぜ欧米で普及しないのか

体調不良全般に関する政策を整えるべきだとの声も

2021年06月18日(金)20時54分
岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)

男性上司から理解が得られないと、生理痛ではなく胃腸炎と言う女性も。*写真はイメージです Svitlana Hulko - iStockphoto

<女性を弱者として見なし差別を助長するとの声も>

昨年11月、英スコットランド議会で生理用品をすべての人に無料提供する法案が可決された。適切な生理用品の購入が難しい状況、いわゆる「生理の貧困」に向けた対策だ。これを皮切りに、ニュージーランドやフランス、そして日本でも一部の自治体や企業が無料提供を実践し始めた。このムーブメントがどこまで広がっていくのかわからないが、月経への社会的関心は、ここにきて、にわかに高まっている。

意外に思う方も多いかもしれないが、ヨーロッパには生理休暇の政策がない。生理についての社会的理解は日本の方が進んでおり、ヨーロッパでは「日本には生理休暇制度があるのに、ヨーロッパではまだだ」と報道されている。生理痛が重い人はヨーロッパにもいる。ヨーロッパでも生理休暇があってもよさそうなのに、なぜ進展が見えないのだろう。

日本の政策は好イメージ 一部では実態も報道

日本では、生理痛のために働くことが難しい労働者は休暇を取得できると法で定めている。有給か無給かは事業者が決めており、厚生労働省の調査では、2015年3月時点で無給の事業所は74%だ。生理休暇を請求した女性は、同月で0.9%だった。生理休暇取得のピークは1965年で26.2%もいたが、以後、減少し続けている。

民間の調査を見ると、取得率は5%(2600人を対象)から7%(1000人を対象)といった割合だから、やはり、生理痛で休暇を取っている人は少ないと考えられる。

一方、ヨーロッパでは、2017年にイタリアで、医師の診断書があれば毎月3日間の有給生理休暇を与えるという法案が議論されたが、制定には至らなかった。イギリスでは、女性社員が多くを占めるコエグジスト社が2016年から生理休暇制度を設けており、本制度を導入したイギリス初の企業ということで話題になり、その後もよく引き合いに出されている。

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