最新記事

事件

「私たちのストリートを返して」、殺人事件受けイギリス女性たちが安全を求め訴え

2021年03月19日(金)11時00分
松丸さとみ

サラ・エドバードさんを追悼するため多くの花が献花された......  REUTERS/Dylan Martinez

<ロンドンで女性が殺害され、現職の警察官が殺人容疑で逮捕されたことで、女性への暴力撲滅や街の安全を求める動きが英国で広まっている......>

21時台に歩いていた女性が誘拐・殺人の犠牲に

3月上旬、英ロンドンで女性が行方不明になり、その後現職の警察官が殺人容疑で逮捕されたことで、女性への暴力撲滅や街の安全を求める動きが女性を中心に英国で広まっている。

きっかけは、サラ・エバラードさん(33)が3日、南ロンドンの友人宅からブリクストンの自宅まで歩いて帰宅しようとした後、行方不明になったことだった。通常であれば50分で到着する道のりだったが、21時半にクラパムで監視カメラに映ったのを最後に、足取りが分からなくなっていた。

現職の警察官が9日、エバラードさん誘拐および殺害の容疑で逮捕された。10日に遺体の一部が発見され、12日にエバラードさんであることが確認された。

恐怖と隣り合わせの女性たち

この事件を受け、ツイッターでは女性が夜間外出時にいかに危険を感じるかを訴える声や、一人歩きをしている際に後をつけられたり嫌がらせをされたりしたといった経験談が多く共有され、エバラードさんの名前が英国でトレンド入りした。

また、身を守るために講じる手段についても、多くの女性がツイートした。「遠回りになっても明るい道を選ぶ」「鍵を握りしめて、指の間から鍵の尖った部分を出す(武器として使えるように)」「逃げ込めるお店を見つけておく」「(イヤフォンの)音楽をとめるか音量を下げる」「髪を隠す」「ポニーテールはつかまれるから髪を下ろす」「電話で誰かと話しているふりをする」「何かあったときに走れるようスニーカーを履く」などがあった。

しかしエバラードさんは消息を断つ前、歩いている間に彼氏と電話で15分ほど話していたとされている。また、監視カメラに映った姿は、帽子を深く被って目立つ色の服を着ており、足元はスニーカーだった。つまりエバラードさんも、一般的に身を守る手段とされる手立てを講じていたようだった。

こうしたことから、「明日は我が身」と不安に感じた女性が多かったようだ。スカイニュースのケイト・マッキャン記者は、「サラ・エバラードさんの身に起きたことが多くの女性の胸に突き刺さった理由は、彼女と同じ計算を私たちも毎日しているからだ」とツイート。10万9000件のいいねを集めた。

ちょうど同じ時期、英国での性的嫌がらせに関する国連の報告書が発表された。国連ウィメンUKが今年1月に1000人以上の女性を対象に行った調査で、公共の場で性的嫌がらせを受けた経験がある人は71%に達することが分かった。18〜24歳の場合、この数字は86%に跳ね上がる。報告書によると、この違いは世代によって何が性的嫌がらせになるかの認識が異なることだとしている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:米支援で息吹き返すウクライナ、兵力不足は

ビジネス

NZ中銀、自己資本規制見直しの必要性否定 競争当局

ワールド

ガザ戦闘、人道状況に「著しい悪影響」 米国務省が人

ワールド

ロシアがウクライナに無人機攻撃、南部オデーサで7人
今、あなたにオススメ

RANKING

  • 1

    メーガン妃から「ロイヤルいちごジャム」を受け取っ…

  • 2

    シャーロット王女の「プロフェッショナルぶり」に賞…

  • 3

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 4

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 5

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 1

    メーガン妃から「ロイヤルいちごジャム」を受け取っ…

  • 2

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 3

    シャーロット王女の「プロフェッショナルぶり」に賞…

  • 4

    ロックンロールの帝王を捨てた女性の物語、映画『プ…

  • 5

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    メーガン妃は「努力を感じさせない魅力がお見事」とS…

  • 3

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

  • 4

    キャサリン妃とメーガン妃の「本当の仲」はどうだっ…

  • 5

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:世界が愛した日本アニメ30

特集:世界が愛した日本アニメ30

2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている