最新記事

エンターテインメント

ジョディ・フォスターが語る新作『モーリタニアン』と『羊たちの沈黙』30周年

“Terror Made Him a Better Person”

2021年03月22日(月)11時00分
H・アラン・スコット

――監督を始めてから、役への取り組み方は変わった?

6歳か7歳の時に一緒にテレビ番組に出ていた俳優がある日、監督を務めていた。俳優が監督もできるなんて信じられなかったけど、「私がやりたいのはこれだ」と思った。知っている女性監督はいなかった。たしか11〜12歳の頃に初めてリナ・ウェルトミューラー監督の映画を見て、「女性も監督になれるんだ!」って。それがずっと心の隅にあり、映画を見たり、俳優の仕事をしたりするときも、監督のような気持ちでいた。だから大きな転換ではなかった。

――『羊たちの沈黙』の公開から今年で30年。撮影当時、特別な作品だと感じていた?

あの映画には一種、畏怖の念を覚えている。自分がこれまで関わった中で最高の映画。いつの時代も色あせない。

ジョナサン・デミ(監督、故人)は愉快で、子供みたいな人だった。あれほど芸術的で心に響くのに、やり過ぎた作品にならなかったのは、彼が完璧に仕上げたから。もちろんトマス・ハリスの原作の素晴らしさもある。

――『羊たちの沈黙』のファンからの質問で、嫌なのは?

「ソラマメとキャンティ」のことはよく言われる。みんなが、あのセリフをまねするのを聞くのは楽しい。嫌な質問は1つだけ。「どうして続編を作らなかったのか?」

私たちはみんな作りたいと思っていた。トマスは新作を書いていて、もうすぐ出来上がる、誰にも見せないと言い続けていた。それで、ジョナサンとアンソニー(・ホプキンス)と私は10年待った。プロデューサーたちもみんな10年待った。だから続編を作らないというのは大変なことだった。それについて特に話をするつもりはないが、よく質問はされる。

――コロナ禍は多くの産業に打撃を与えたが、ハリウッドはなんとかうまくいく道を見つけたのでは?

製作が進んでいる作品もあるが、ほんのわずかだ。だから、製作面で元の調子に戻っているかは分からない。どこも必死にやっているけれど。

アマゾンにはとてつもないお金があり、アップルやネットフリックスはじっくりと、いい作品を待っている。

この10年ほど、人々の習慣は変わるだろうと誰もが言っていた。映画館で見るのは大手のフランチャイズ映画だけで、物語を楽しむ作品は全て配信になる、と。でも、コロナ禍でこれほど変化が加速するとは思っていなかった。

観客の習慣、映画会社の作るもの、配信業者の力と権限に大きな変化があるだろう。私も用意はできている。喜んで、iPhoneで自分の演技を見てもらう(笑)。

©2021 The Slate Group

ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

OPECプラス、6月日量41.1万バレル増産で合意

ビジネス

日本との関税協議「率直かつ建設的」、米財務省が声明

ワールド

アングル:留学生に広がる不安、ビザ取り消しに直面す

ワールド

トランプ政権、予算教書を公表 国防以外で1630億
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 3

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 4

    「ターフ/TERF」とは何か?...その不快な響きと排他…

  • 5

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 3

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 4

    タンポンに有害物質が含まれている...鉛やヒ素を研究…

  • 5

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 1

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…

  • 4

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 5

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門

特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門

2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語