最新記事

スイスに新チョコ博物館 メーカーはサスティナブルなカカオで世界をリードへ

2020年09月18日(金)11時40分
岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)

リンツチョコレートがチューリヒ湖沿いの本拠地にオープンさせたチョコ博物館の内部  Lindt & Sprüngli/Keystone/Alexandra Wey

<フランス、ベルギーだけじゃない。チョコレート王国の最新事情は?>

スイスのチョコレートは文句なしにおいしい。飲むものだったチョコレートを固形にし、世界初のチョコレート工場がスイスにできたのが200年前のこと。それから様々な技術や商品が発展してきた。

スイスは、大のチョコ好きの国として知られる。スイスのチョコメーカー17社(大量生産している業者)が加盟する団体チョコスイスによると、2019年の1人当たりの年間チョコ消費量は10.4kgだった。近年、この数値が少し減少傾向にあるとはいえ、世界的にみればトップクラスで日本の約5倍も消費している。

巨額を投じた、大手リンツの新チョコ博物館

newsweek_20200918_015444.jpg

開館セレモニーには、リンツのアンバサダーであるテニスのロジャー・フェデラー選手も出席した  Lindt & Sprüngli/Keystone/Alexandra Wey

9月13日、そんなスイスに、日本でも親しまれているリンツチョコレートがチューリヒ湖沿いの本拠地に博物館「リンツ・ホーム・オブ・チョコレート」をオープンした。116億円以上を投入し、建設に3年かけた。以前、ここには大型直営店があり、チョコの歴史を知りテ―スティングもするチョコツアーも行われていたが、それがバージョンアップしたのがこの博物館だ。

入場料・大人約1700円(子どもや学生など各種割引あり)で、チョコの世界について詳しく学ぶことができる。チョコ作り教室も毎日開催(別料金)、カフェと世界最大のリンツショップが併設し毎日営業している。

newsweek_20200918_020801.jpg

博物館「リンツ・ホーム・オブ・チョコレート」外観 LINDT UND SPRUENGLI/KEYSTONE/Alexandra Wey

新型コロナウィルスの影響で今春の開館が延期されたため、リンツファンはとりわけ喜んでいるかもしれない。チューリヒ市街地から電車やバスでのアクセスがよく、国内外の人たちから新名所として人気を集めるだろう。

リンツ・チョコレート・コンピテンス財団(リンツが最近作った財団)がこの博物館を作った目的は、リンツのためだけでなく、スイスのチョコ王国という名声を長期的に確実に保っていくためだという。

博物館で、スイスのチョコ作りについてもっと多くの人たちに知ってもらい、併設した研究施設は、チョコ製造者や研究所や大学にレシピの開発や製造過程の最適化のために活用してもらうことで、スイスのチョコ業界全体がさらに発展していけると見込んでいる。

リンツは、スイスの観光スポットとして名高いルツェルン市でも、2014年夏からチョコツアーを実施している。スイス交通博物館内にあり、こちらは電動カートに乗り、バーチャルな世界でチョコ生産について学べる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国財政収入、9月前年比2.6%増 伸び加速

ワールド

自民との政策協議は大きく前進、野党とは「一区切り」

ワールド

中国の韓国造船業への「制裁」、米韓造船協力に影響と

ビジネス

欧州・アジアの銀行株が下落、米国の与信懸念が波及
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 3

    「恐ろしい」...キャサリン妃のウェディングドレスに…

  • 4

    ハン・ガンのノーベル文学賞受賞はなぜ革新的なのか?…

  • 5

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 1

    「恐ろしい」...キャサリン妃のウェディングドレスに…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 4

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 5

    メーガン妃はイギリスで、キャサリン妃との関係修復…

  • 1

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 2

    完全コピーされた、キャサリン妃の「かなり挑発的な…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

  • 5

    「結婚に反対」だった?...カミラ夫人とエリザベス女…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:日本人と参政党

特集:日本人と参政党

2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る