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恐怖の12分間...血と涙の『くるみ割り人形』残酷な舞台裏

Blood, Sweat, and Snowflakes

2019年12月19日(木)19時30分
ドリー・シェブレン(ジャーナリスト、元バレエダンサー)

ANDY CROSSーTHE DENVER POST/GETTY IMAGES

<新聞紙の雪に水膨れ、移動続きの長い公演──華麗なクリスマスの定番作の舞台裏はかくも過酷>

巨大なクリスマスツリーや戦うネズミ、お菓子の国──クリスマスシーズンの定番バレエ『くるみ割り人形』は魔法の世界を描き出す。だが、なかでも素晴らしいのは雪だ。第1幕第2場、有名な「雪のワルツ」の場面。ちらほらと優しく降り始めた雪が魅惑的なブリザードに化し、ダンサーの姿をかき消していく。

この雪のことなら、よく知っている。『くるみ割り人形』の舞台を見る前に、筆者は何年もステージの上で本作を踊った。

だから、初めて観客の立場になったときは、本当に真っ白な雪そのものに見えると感心する一方、薬品で耐火処理が施された灰色の新聞紙の紙吹雪の味、踊っている間にどうしても口に入る紙切れをのみ込むときの感じがよみがえった。

「雪のワルツ」の前はいつでも緊張した。これから、ノンストップで跳んだり回転したりする恐怖の12分間が待っている。降りしきる紙片は視界を狭めて喉を詰まらせ、ステージの床は氷のように滑りやすくなった。毎シーズン、私たちのうち誰かが転ぶのではないかと不安だった。

劇場の座席から見る限り、第1幕の終盤は息をのむほど美しく優雅で、ダンサーは雪そのもののように軽やかだ。でも、私は知っている。彼女たちが鼻だけで精いっぱい呼吸し、トーシューズの中では出来たての水膨れが出血していること、幕が下りた後、衣装替えのために舞台裏に駆け込みながら、彼女たちが灰色の塊を吐き出すことを。

一年で最も素敵なクリスマスシーズンは、『くるみ割り人形』の出演者には疲労と反復の長い日々でもある。そもそもインフルエンザの季節で、この時期のダンサーの免疫力は高くない。ニューヨークシティ・バレエ団(NYCB)では予防接種を実施しているが、大半のダンサーによれば、大切なのは睡眠不足にならないことだ。

だが、これが難しい。ツアーのシーズンだからだ。「バスで移動して公演をして、またバスで移動して、翌日はレッスン。楽ではない」と、コロンビアシティ・バレエ団(サウスカロライナ州)に所属するクレア・ラップは言う。

アメリカのバレエ団の大半にとって、『くるみ割り人形』はその他の上演作品の予算を賄うための資金源になっている。NYCBの場合、年間収益のおよそ40%を『くるみ割り人形』で稼ぐ。

これほど人気なのは、多くのアメリカ人家庭が本作の鑑賞をこの時期の恒例行事にしているから。おかげで1シーズンに15~50もの公演がアメリカ各地で行われている。

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