ピカソ、クレーの名画の「裏側」を見る展覧会でナチス略奪の軌跡を知る
絵画のたどった歴史を解き明かす
展覧会の目玉と言えるのが、かつてナチスに略奪されていたとされるピカソの4作品だ。そのうちのひとつ、1919年の「サン・ラファエルの窓の前の静物」は、展覧会開催に向けて行われた調査で、実は略奪を免れていたということが明らかになった。

この絵のキャンバスの裏には、カラフルなシールがたくさん貼られている。ニューヨーク近代美術館(MoMA)に始まり、フィラデルフィア美術館、シカゴ美術館など数々のアメリカの美術館を巡回した際のシールだ。その年号は1939年から1946年まで。つまりフランスでのナチスによる略奪の時期、この絵はアメリカにあったということを示している。当時の所有者であるパウル・ローゼンベルクがコレクションに貼っていた「330」のラベルも見られる。
この作品の歴史には謎があった。ナチスERRの略奪リストにはこの作品が2点重複して記録されており、研究者たちは長年、首を傾げていた。1940年にフランスの別々の場所にいた2人のコレクターからの押収品として別々に登録されていたのだ。だが今回の調査によってアメリカにあったものが本物であり、ナチスが奪ったものは2点とも本物ではなかったことが判明した、と説明されている。
当展覧会のキュレーター、スヴェン・ハーゼによれば、ピカソのキュビズム期の名作と考えたパウル・ローゼンベルクが複製品を複数作らせたのではないかと考えられるそうだが、その複製自体はどちらも見つかっておらず、いまだ謎は残るという。
絵画の木枠部分の裏面に、ナチスが略奪時に直接書き込んだメモがある作品も多い。ピカソがミューズ、ドラ・マールを描いたと言われる名作「黄色いセーターを着る女」は、パウル・ローゼンベルクからの略奪品で、ナチスによる「PR」という頭文字のメモ。「ギターと果物鉢のある静物」は、アルフォンス・カーンから略奪したものなので「AK」という頭文字と、略奪リストのナンバーがメモされている。
1921年の「座って足を乾かす裸婦像」も、裏側の木枠にはパウル・ローゼンベルクの頭文字がメモされている。この作品に関しては、戦時中の詳細な記録が失われており、ローゼンベルク自身もナチスに略奪について語らなかったため、これまでその間の歴史が明らかになっていなかった。今回の調査で研究者が、当時の略奪品の倉庫の写真にこの絵が写っていたことを思い出し、詳しく調べたところこの作品にも略奪の歴史のあったことが明らかになったという。

そしてこれらには「GR2C」というスタンプが押されているが、これはナチスが資金調達目的で販売する予定だった作品につけたものだということがわかった。
ピカソのメッセージも隠れていた
今展覧会の130作品は全て、こうした調査によって詳細な来歴が明らかになったものだ。なかでも48作品については持ち主がわからなかった時期があり、調査は困難を極めたそうだ。売買に関する書類が不明瞭で内容が確実でないものが多かったため、略奪絵画のリストのほかメモ、スケッチなども集められた。白黒の資料写真ではわからないことも多く、また同じ題材の作品も多くあったため混乱も生じた。ひとつひとつ、パズルのピースを埋めるように歴史を繋いでいく作業だったという。
絵画の裏側に記されたのは略奪の歴史のような、辛いものばかりではない。1938年にピカソが描いたモノトーンのスケッチは、ピカソが仲良くしていたアメリカのアーティストに贈られたが、この絵の裏側には、ピカソによる明るいパステルカラーで描かれた花束とメッセージが隠れている。
パウル・クレーの静謐なストライプの抽象画は、映画監督ビリー・ワイルダーが30年以上所有していたと聞くと、不思議な気持ちになる。
独ターゲスシュピーゲル紙は、「まるで研究ミステリー。ベルクグリュン・コレクションの貴重な美術品のドラマティックな来歴を見せる展覧会」と報じている。
この絵にこんな物語が隠れていたなんて! 歴史を知ることは、その作品の魅力を何倍にもする。これからは、つい全ての絵画を裏返してそのキャンバスの裏に隠れた秘密を覗きたくなってしまいそうだ。この展覧会は来年5月19日まで開催予定だ。
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